最新記事

金融

OPEC+、5─6月に日量1000万バレル減産で合意

2020年4月10日(金)08時27分

石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」は9日、5月と6月に日量1000万バレルの減産を行うことで合意した(2019年 ロイター/LEONHARD FOEGER)

石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」は9日、5月と6月に日量1000万バレルの減産を行うことで合意した。新型コロナウイルス感染拡大による影響で打撃を受けた原油価格を支える。

発表された声明によると、減産量は、7─12月は日量800万バレル、2021年1月─22年4月は同600万バレルとなる。

OPECプラスは6月10日に再びビデオ会議を開催し、市場の状況を精査するという。

OPECプラスの関係者は、米国をはじめとする他の産油国が日量500万バレルの減産を実施することを期待すると述べた。しかし、OPECプラスの声明文にはこの点に関する言及がない。

複数の関係筋によると、OPECプラスは米国の参加が不可欠と考えており、米国の参加を促すため、緩やかに減産を進める方針だ。

米国は9日のOPECプラスの会合に招待されていたが、今回のビデオ会議に参加したかどうかは不明。ブラジル、ノルウェー、カナダも会合に招待されていた。

日量1000万バレルは世界の原油供給の10%に相当するが、世界の原油需要は各国の新型コロナウイルス対策で日量3000万バレル減少している。

日量1500万バレルという前例のない大規模な減産が実現しても、原油の余剰は解消されないとみられる。

トランプ米大統領は減産を実施する方針を全く示唆しておらず、米国の生産は原油安によりすでに減少していると主張。サウジアラビアが減産を進めなれば制裁や関税を課すと警告していた。

OPECとロシアの当局者は、現在の危機に対応するにはすべての産油国の関与が必要になると指摘している。

ロシアの政府系ファンドのキリル・ドミトリエフ氏はロイターに「OPECプラス以外の産油国が減産に参加すると期待している。あすの20カ国・地域(G20)会合で決まるかもしれない」と述べた。

10日にはサウジが議長国を務めるG20エネルギー相会合が開催される。

*内容を追加しました。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・「感染者ゼロ」北朝鮮の新型コロナウイルス対策
・イタリア、新型コロナウイルス死者・新規感染者ともペース鈍化 第2段階の対策検討
・新型コロナウイルス感染爆発で顕在化 「習近平vs.中国人」の危うい構造


20200414issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月14日号(4月7日発売)は「ルポ五輪延期」特集。IOC、日本政府、東京都の「権謀術数と打算」を追う。PLUS 陸上サニブラウンの本音/デーブ・スペクター五輪斬り/「五輪特需景気」消滅?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中