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米中貿易戦争

「トランプの対中関税が米消費者にしわ寄せ」FRB調査分析 政権説明と矛盾

2019年11月26日(火)08時10分

トランプ米政権による中国製品への関税負担が中国側ではなく米消費者に回っていることが、ニューヨーク連銀の調査論文で25日明らかになった。2011年1月撮影(2019年 ロイター/BRIAN SNYDER)

トランプ米政権による中国製品への関税負担が中国側ではなく米消費者に回っていることが、ニューヨーク連銀の調査論文で25日明らかになった。トランプ政権は中国側が関税を負担していると繰り返し説明しており、矛盾が浮き彫りとなった。

制裁関税に伴い、中国からの一部輸入製品にかかる関税は最大25%に上がった。中国側が関税を負担した場合、企業は最大20%の値引きを余儀なくされる計算だが、実際に輸入統計を調べてみると、中国からの輸入物価は2018年6月から19年9月にかけて2%程度しか下落していないという。

論文では「中国製品の輸入物価は引き続き安定しており、米国の企業や消費者が関税の負担を強いられている」と分析した。企業や消費者の負担比率については明らかにしなかった。

また、中国は関税引き上げの影響を確実に受けているとも指摘。米国の機械・電気機器輸入に占める中国製品の割合は17年以降約2%ポイント低下したほか、電子製品輸入に占める中国製品の割合も6%ポイント低下し、代わりに欧州、日本の機械類やマレーシア、韓国、台湾、ベトナムの電子類などの割合が増えたとした。

中国製品のドル建て価格が下がっていないという事実は、関税引き上げ以降約10%下落している人民元 を中国の輸出業者が競争力維持のために利用していないことを示していると指摘した。

[ワシントン 25日 ロイター]


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