コラム

中国当局がひた隠すスラム街の存在

2018年12月10日(月)20時43分

もう一つ、いささか呆れたのは、河北省から長距離バスで北京市に行った時の経験だ。乗車前に警察官が乗客の身分証をチェックしたが、それはバスジャックみたいな事件もあるのでしょうがないかなと思う。驚いたのはバスが北京市のバスターミナルに到着して下車し、ターミナルの外へ出るときに荷物チェックがあったことだ。まるで「入り鉄砲に出女」を取り締まった江戸のようである。

北京市が自分たちに都合のいい人間と都合のいいモノ以外入ってくるのを拒むというのは一国の首都としてどうなのかと思う。中国は、国としては対外開放をいっそう推し進めるのだと言っており、私もその言葉を信じたいと思う。だが、その足元の北京市が国内に対してむしろ閉鎖の度合を高めていることについて、中国の心ある人たちがもっと意識を高めてほしいものである。

プロフィール

丸川知雄

1964年生まれ。1987年東京大学経済学部経済学科卒業。2001年までアジア経済研究所で研究員。この間、1991~93年には中国社会学院工業経済研究所客員研究員として中国に駐在。2001年東京大学社会科学研究所助教授、2007年から教授。『現代中国経済』『チャイニーズ・ドリーム: 大衆資本主義が世界を変える』『現代中国の産業』など著書多数

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