コラム

政権与党は「反移民」を安易に真似ていいのか...英国では「永住権」の廃止案が裏目に出る可能性

2025年10月04日(土)18時11分

「改革英国党が政権を取れば福祉は英国民だけのもの」

ファラージ氏は「改革英国党が政権を取れば福祉は英国国民だけのものになる」とまで言い放った。「窓(常識)の外」にある過激な案を出せば窓全体が動いて、これまで過激だった政策まで「普通」に見えてくる。ファラージ氏のレトリックは「世論を誘導するための戦術」だ。

英国立社会調査センターが「英国で働き税金を納めている移民はいつ英国国民と同じ福祉給付を受けられるべきか」と質問したところ5年以内という回答が84%に達した。このうち3年以内に短縮すべきと考えていたのは65%。ファラージ型排除を支持したのはわずか3%に過ぎない。

トニー・ブレア首相のスピーチライターを務めたジョン・マクターナン氏はこう語る。

「今の政治はアマゾン的な『返品型政治』になっていて『自分が望む政府ではない』とすぐ返品する感覚が蔓延している。しかし本来の政治とは価値観に基づいてトレードオフを行い、制度や仕組みを構築していくものだ」

マクターナン氏は「価値観がビジョンを生み、福祉国家を生み出し、選択を方向づける。大事なのはなぜその選択をしたのかを説明できることだ。労働党は常に次に何を国に付け加えるべきか、世界にとって良いものは何かを考えるべきだ」と訴える。

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プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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