コラム

プーチンに、本気で停戦する気はある? 欧州側にも欠けている、和平実現の「要のピース」とは

2025年03月15日(土)13時14分
プーチン大統領ウクライナ和平への動き

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(3月14日) Sputnik/Mikhail Metzel/Pool via REUTERS

<プーチンは「問題解決に熱心なトランプ大統領に感謝」を述べたが、はっきり拒否はしないまま事態を長引かせて解決を不可能にするのがプーチンのいつものやり口だ>

[ロンドン発]ウラジーミル・プーチン露大統領は3月13日、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領との共同記者会見でウクライナ戦争の停戦準備について質問され「問題解決に熱心なドナルド・トランプ米大統領に感謝したい」と述べた。

「敵対行為を停止するとの提案に同意するが、長期的な平和につながり危機の根本原因を排除すべきという前提から出発する。露西部クルスク州の状況はわれわれの管理下にあり、わが領土に侵攻した集団は孤立し制圧されている。ウクライナ軍部隊の選択肢は降伏か死の2つだけだ」

クルスク州のウクライナ軍部隊はどうするのか。ウクライナが武器を捨て降伏せよと命令を下すのか。ロシア軍は2000キロメートルの前線で前進しているが30日間は何のために使われるのか。統制と検証、停戦の保証、停戦違反の責任をどうするのかとプーチン氏は問い重ねた。

事態を長引かせるのがプーチンの常套戦術

これに対しウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は「プーチンはトランプ氏に戦争を継続し、ウクライナ人を殺し続けたいと言うことを恐れている。そのため停戦案が失敗するか、できるだけ長く引き延ばされるよう困難な前提条件を付けている」との見方を示した。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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