コラム

裁量労働制の見直しは「成長スイッチ」ではない...むしろ「賃金低下」まであり得る理由

2026年03月05日(木)17時55分
裁量労働制の見直しがさらなる賃金低下を招く理由

DIMITRI OTIS/GETTY IMAGES

<成長を最優先するとした高市早苗首相は施政方針演説で裁量労働制の見直しにも言及したが、この施策は本当の意味で成長を目指したものとは言い難い>

高市早苗首相は、先の衆院選を受けて召集された特別国会において施政方針演説を行った。通常、施政方針演説は毎年1月に召集される通常国会で行われるが、今回の通常国会は冒頭で解散となったため選挙後の特別国会で演説が実施された。

事前の予想どおり、高市氏は成長を最優先するとして「責任ある積極財政」を強く主張したが、その中に裁量労働制の見直しが含まれていたことが波紋を呼んでいる。


かねてからの持論であった財政出動強化による成長路線というのは、その手法や効果、あるいはそれに伴う財政悪化懸念の是非は別にして、一つの考え方と言ってよい。だが、働き方改革によって残業時間に規制を加えたにもかかわらず、それを骨抜きにしかねない施策を実施するというのは、本当の意味で成長を目指した施策とは言い難い。

日本では労使間で協定を結んだ場合、事実上、青天井で残業を労働者に要請できるという、ある種の法の抜け穴があり(36協定)、一部の労働者が無制限残業を強いられるという問題が指摘されてきた。実際、諸外国と比較すると日本人の労働時間はかなり長かった。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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