働き方改革による残業規制はうまく機能していない

こうした事態を打開するため、政府は働き方改革関連法を成立させ、労働時間の上限を設定することで過度な残業が起きないよう規制を加えた。この施策は大きな効果を発揮し、大企業を中心に多くの企業で残業時間が減ったが、全体的に見た場合、この施策がうまく機能したとは言い難い。

本来こうした残業規制というのは、デジタル化など企業の生産性向上策とセットにする必要がある。これを行わないまま、単純に労働時間だけを減らしてしまうと企業の生産量が減り、業績が悪化してしまう。

日本は諸外国と比較してデジタル化や組織の合理化など生産性向上策が十分に浸透しておらず、その状況で残業規制だけを加えたため、年収が大幅に下がるという現象があちこちで発生している。

本来であれば、残業時間が減ってもそれ以上の生産量を確保できるよう、デジタル化投資を促進する必要があるが、日本の経済界はそうした努力を十分に行うことなく、政府に対して、以前のように長時間残業ができる体制に戻してほしいと要請している。

高市政権はこうした一部経済界からの要請を受け入れる形で、裁量労働制の見直しに舵を切った。多くの業種や業態に裁量労働制がなし崩し的に拡大した場合、残業規制は実質的に意味を成さなくなってしまうだろう。

企業社会の在り方が昭和の時代に逆戻りする