コラム

イギリスのワクチン「トップ転落」と3回目接種

2021年12月06日(月)14時15分

接種を受けた後、副反応に備えて全員、屋外で15分間じっと座っているように指示された。この待機時間中、僕は何人もの人が偶然通りかかって飛び入りで接種する姿を目にした。だから、この接種バスが計画的に動くタイプの人向けのものではなく、僕みたいな半・計画的な人向けですらないことに気付いた。このバスはそこらへんを走っては、接種を「接種するつもりではいた」/「接種したいけどずっと忙しかった」/「接種の機会がなかった」人々がたくさん「通りかかる」ところを狙ってさまざまな場所に止まっていたのだ。

こういう人々が存在するということをついつい忘れがちだったことに、僕はむしろ驚いた。僕は(比較的少数派の)騒がしい反ワクチン派のことはよく耳にするが、彼らとは違い分別ある人々が、接種の通知を受け、何度もメールをもらってもそれでもまだ接種しないでいる可能性があることに驚いた。コロナにより瀕死の重症になったり集中治療室に入ったりしている人は、今やほぼ間違いなくワクチン未接種者だという事実は明らかなのに。

僕が3度目の接種を受けたのは、オミクロン株のニュースが出てくる少し前だった。この事態を受け、イギリスは今、ブースター接種をスピードアップさせて進めている。でもまだ、1回目接種も受けていない「連絡が困難」な層もいる。夏以来、ワクチン接種率はほとんどの年代で頭打ち状態が続いており、35~55歳の4分の1前後が未接種のままなのだ。

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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