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【銘柄】「日本マクドナルド」の株価が上場来高値...不安定な相場で「値上げ」が強みになる理由

2026年03月11日(水)08時15分
岡田禎子(個人投資家、ファイナンシャル・プランナー)

なぜ値上げしても顧客が離れないのか

物価高や先行き不透明感が強まるなかでも、人はすべての欲求を我慢できるわけではありません。家計では、削るべき支出と、最後まで手放さない支出がシビアに見極められます。そして、その判断は意外なほど小さな日常体験から決まったりもします。

一時期、高級ハンバーガーが流行しました。最近でも、専門店になると2000円を超えるハンバーガーも珍しくありません。

一方で、「ビッグマック」のセットは800円前後です。タッチパネルで素早く注文できるし、味も安定しています。ふんわりとしたバンズ、ジューシーなパティ、ピリリと効いたピクルス。筆者も久しぶりに食べてみて、思わず声を漏らしました。「これで十分おいしい!」

マクドナルドは、もはや単なる「安さだけで選ばれる店」ではありません。日常の小さな満足、手軽な外食というポジションを確立しています。そして、このポジションを握った企業は強いです。なぜなら、日常消費として定着している限り、多少の値上げでは顧客は離れにくいからです。

◾️値上げのたびに「理由」を作るのが上手い

日本マクドナルドが巧みなのは、値上げだけで終わらせない点です。期間限定バーガーや復刻メニューなど、価格改定と同時に「店に行く理由」を用意します。さらに、モバイルオーダーなどデジタル戦略も進みました。利便性の向上は値上げの心理的なハードルを下げます。

店舗体験を向上させ、価格を上げる。この順番が崩れていないからこそ、来店客数が大きく落ちないのです。ちなみに「ビッグマック」の単品価格は、2000年代前半は200円ほどでした。それが500円になりました。20年で価格は大きく上昇しましたが、それでも販売は伸び続けています。

同じ構造は、他の業種でも見られます。例えば「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング<9983>。ブランド力を背景に価格改定を進めながら成長を続けています。

株式市場が評価するのは「価格決定力」

2月の価格改定で、日本マクドナルドは約6割の商品を10〜50円値上げしましたが、株式市場は好意的に反応しました。現在の株価は7570円(10日終値)。それに対する予想PERは29.17倍で、外食産業としては高い水準にあります。

それでもなお日本マクドナルドが買われる理由は、その「価格決定力」にあります。つまり、値上げ後も客数が維持され、単価上昇が利益に反映される。この関係が続く限り、株価は高い評価を受け続けるでしょう。

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