トランプ氏のグリーンランド関税、貿易戦争再燃の懸念 米に打撃も
トランプ米大統領がデンマーク自治領グリーンランド領有に反対する欧州諸国に対し、追加関税を課すと表明したことを受け、アナリストからは貿易戦争が再燃し、米国も打撃を受けかねないとの見方が出ている。ブリュッセルの欧州委員会で2013年11月撮影(2026年 ロイター)
Adam Jourdan
[ロンドン 19日 ロイター] - トランプ米大統領がデンマーク自治領グリーンランド領有に反対する欧州諸国に対し、追加関税を課すと表明したことを受け、アナリストからは貿易戦争が再燃し、米国も打撃を受けかねないとの見方が出ている。
トランプ氏は17日、米国がグリーンランド購入が認められるまで、デンマーク、フランス、ドイツ、英国など8カ国からの輸入品の関税を2月1日から引き上げると述べた。
経済界や市場では昨年の貿易戦争のような不安定な状況に逆戻りしかねないとの懸念が強まっている。IG(シドニー)の市場アナリスト、トニー・シカモア氏は「今回の新たな火種は、北大西洋条約機構(NATO)の同盟関係を揺るがせ、欧州諸国と昨年結んだ貿易合意を崩壊させる懸念を高めている」と指摘した。
テネオ(ロンドン)の調査部門副部長を務めるカーステン・ニッケル氏は「昨夏に米国が英国および欧州連合(EU)と結んだハイレベル合意によって休止していた貿易戦争が再燃する可能性が最も高い」との見方を示した。その上で、EUが対立を従来の貿易戦争の枠組みにとどめようとするのか、より強硬な路線を求める声が優勢になるのかが注目されると述べた。
ウェルス・クラブのチーフ投資ストラテジスト、スザンナ・ストリーター氏は、「(輸出)企業はすでに現行の関税を吸収しようと努力してきたが、これ以上の上乗せを吸収できる余地はほとんどない。そのため、新たな関税は最終的に米国の消費者に転嫁される可能性が高い」と述べた。
さらに「米国との取引が混沌としている以上、多くの企業は収益源を分散し、より問題の少ない国で新たな顧客を探すようになるだろう」と予測した。
キャピタル・エコノミクスのグループ・チーフ・エコノミスト、ニール・シェアリング氏は、スペイン、イタリアなど一部のEU加盟国が関税リストに含まれていない点を指摘した。そのため、課税を回避する目的で、EUの自由貿易圏内で貿易の「経路変更」が進む可能性が高いという。
アナリストらは新たな関税が導入されればトランプ氏にとっても打撃となり得るとみている。関税は米国の物価を押し上げ、発動前の駆け込み輸出を招き、欧州企業に新たな市場開拓を促すためだ。
ベレンベルク(ロンドン)のチーフエコノミスト、ホルガー・シュミーディング氏は「欧州にとってこれは地政学上の頭痛の種であり、経済面では中程度の問題だ。しかし、トランプ氏にとっても逆効果になりかねない」と述べた。
それでも最終的には「グリーンランドの自決権を尊重し、NATO全体として北極圏の安全保障を強化し、欧州と米国の経済的損害をおおむね回避する結果になるだろう」と語った。
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