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イスラエル軍がガザで「人間の盾」使用との情報、米前政権が昨年末に入手

2025年11月13日(木)09時24分

写真は地下トンネルから出てくるイスラエル兵。6月8日、ガザ地区のハンユニスで撮影。REUTERS/Ronen Zvulun

Erin Banco

[ニューヨーク 12日 ロイター] - 米国は昨年末、パレスチナ自治区ガザの地下トンネルへイスラエル軍兵士がパレスチナ人を送り込む方法を、イスラエル当局者が議論しているとの情報を集めていた。イスラエル側は、トンネル内に爆発物が仕掛けられている可能性があると考えていたもようだ。事情に詳しい2人の元米政府高官が明らかにした。

この情報はホワイトハウスに共有され、バイデン前政権の任期終了数週間前に情報機関が分析していたとされる。

バイデン前政権はかねてより、イスラエル兵がガザで自らの身を守るためにパレスチナ人を「人間の盾」として利用しているとの報道に懸念を表明していた。今回、米政府がそうした情報を独自に入手した事実が初めて判明した形だ。

情報を受けて前政権内では、このような戦術がどの程度の範囲で使われ、兵士が軍上層部の指示に従っていたのかどうかなどの疑念が浮上。ただ各省庁の法律専門家は、イスラエルが組織的・計画的に戦争犯罪を行った証拠はないと判断し、米国はイスラエルへの武器・情報提供を続けたという。

国際法は、軍事活動中に民間人を人間の盾とすることを禁止している。

元米政府高官は、情報で言及されたパレスチナ人がイスラエル軍に拘束された人々か、一般の民間人かについての詳細な内容は示していない。

ロイターは、バイデン前政権がこの情報に関してイスラエル政府と協議したかどうかは確認できなかった。この件でイスラエル政府にも問い合わせたが、回答は得られていない。

イスラエル軍は声明で、軍は「市民を人間の盾としたり、軍事作戦への参加を強要したりすることを禁じている」と述べ、憲兵の刑事捜査部門が軍事作戦にパレスチナ人を関与させた疑いのある事案の調べを進めていると付け加えた。

ロイター
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