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政府、対日投資の審査制度を一部見直しへ 外為法の再改正も

2025年11月07日(金)11時25分

写真は高市早苗新首相。2025年10月24日撮影 REUTERS/Kim Kyung-Hoon

Makiko Yamazaki

[東京 7日 ロイター] - 政府は、海外企業や投資家による日本企業の株式取得に関する事前審査制度について、経済安全保障上のリスクを効率的かつ重点的に見極められるよう、一部を見直す方針だ。地政学リスクが高まる中、制度の合理化を進めるとともに、現行で把握が難しい事例への対応も検討し、必要に応じて関連法を改正する。

対日投資の事前届出を義務付けている外国為替及び外国貿易法(外為法)は2019年に改正、翌2020年に施行された。経済安保上重要な指定業種を営む上場企業の株式取得の届け出基準が10%から1%に引き下げられ、役員選任の同意など株主としての⾏為も審査対象に加えられるなど、制度は大幅に強化された。

指定業種の拡大と相まって、改正後の事前届出件数は年間500件前後から2000件超に急増。よりリスクの高い案件に重点を置いた審査を可能にするため、制度の合理化が課題となっている。

一方で、審査対象外の国内投資家が外国政府などリスクの高い非居住者の影響下にあるケースや、事前届出を経て日本企業の株式を取得した外国企業が、別の外国企業に買収されるケースなど、現行制度では把握しきれていない事例への対応も課題として浮上している。

財務省の三村淳財務官は5日、ブルームバーグ主催のイベントで、改正外為法の附則に盛り込まれた「施行から5年後の見直し規定」に言及し、現在、見直し作業を進めていると述べた。

さらに、「的確な対象に、より効率的に対応できるよう、合理化が必要な領域があると認識している」と語り、必要と判断されれば、次期通常国会で関連法案が提出される可能性があるとした。

先週開かれた関税・外国為替等審議会の分科会では、財務省が提出した資料の中で、役員選任のうち再任の場合には届出を不要とするほか、指定業種の情報通信技術関連業種について、サイバーセキュリティ上重要な事業に対象を限定することなどの可能性が示された。

ソフトウエアなどを含む情報通信業種は2019年度に指定業種に追加され、事前届出件数の過半を占めている。

経済安保の強化は高市早苗首相の政策の柱の一つ。日本維新の会との連立政権合意書に盛り込まれた「対日外国投資委員会(日本版CFIUS)」創設も検討されており、関係省庁間の連携強化に向けた新たな協議体の設置が期待されている。

(山崎牧子 編集:石田仁志)

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