ニュース速報
ワールド

トランプ氏へのヒスパニック系支持に陰り、経済や移民政策に懸念

2025年04月28日(月)19時46分

昨年の米大統領選でトランプ大統領(写真)の勝利を後押したヒスパニック系有権者の間で、同氏への支持に陰りが見られることが世論調査で明らかになった。27日撮影(2025年 ロイター/Nathan Howard/File photo)

Jason Lange Bo Erickson

[ワシントン 28日 ロイター] - 昨年の米大統領選でトランプ大統領の勝利を後押したヒスパニック系有権者の間で、同氏への支持に陰りが見られることが世論調査で明らかになった。トランプ氏の経済政策や移民に対する強硬姿勢への懸念が背景にある。

ロイター/イプソスが15─21日に実施した最新の世論調査によると、ヒスパニック系におけるトランプ氏の支持率は大統領就任直後から3%ポイント低下し34%となった。

一方、不支持率は7ポイント上昇し61%に達した。米国民全体での不支持率の上昇幅(5ポイント上昇し53%)よりも大きい。

エジソン・リサーチの出口調査によると、トランプ氏は11月の大統領選でヒスパニック系有権者の46%を獲得し、2020年の選挙から14ポイント上昇した。

保守系シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所がまとめた出口調査のデータによると、トランプ氏に対するヒスパニック系有権者の支持は1970年代以降の共和党大統領候補の中で最高だった。

しかし、大統領就任後最初の1カ月間(1月20日から2月20日まで)に実施したロイター/イプソスの世論調査と、今回の調査を比較分析した結果、トランプ氏の人気は幅広い層で低下していることが明らかになった。

公民権団体ユニドスの中南米系投票イニシアチブ責任者、クラリッサ・マルティネス・デカストロ氏は「24年の選挙で共和党を大きく後押ししたのは経済への不満だった。しかし現在、人々の景況感が改善していないことは共和党にとって警鐘となる」と述べた。

「今や経済の現状に対する責任はトランプ氏にあると見なされるようになっている」と分析した。

一方、マルティネス・デ・カストロ氏は移民政策が2番目に大きな関心事だと指摘した。同団体が実施した世論調査で、中南米系有権者の10人中8人近くが危険な犯罪者の国外追放を支持していることが示されたという。

しかし同氏は、犯罪歴がなく長期間米国に居住している不法移民までトランプ氏が標的にすべきではないと主張した。

ロイター/イプソスの世論調査によると、ヒスパニック系有権者の間では、トランプ氏の移民政策に対する支持率が4ポイント低下して32%となった。一方、白人回答者の間では54%で横ばいだった。

最新の調査では、不法移民の強制送還強化を支持するヒスパニック系は42%に上った。これは白人回答者の63%よりは低いものの高水準にとどまった。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日経平均は続伸で寄り付く、米国の株高とハイテク好決

ビジネス

マイクロソフト、トランプ政権と争う法律事務所に変更

ワールド

全米でトランプ政権への抗議デモ、移民政策や富裕層優

ビジネス

再送-〔アングル〕日銀、柔軟な政策対応の局面 米関
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 8
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 9
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 10
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中