ニュース速報

ワールド

石油価格、今年一段高の可能性 24年の需要は急減速=IEA月報

2023年08月12日(土)01時02分

国際エネルギー機関(IEA)は11日公表した月報で、石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」による供給削減によって年内に石油在庫が減少し、石油価格が一段と上昇する可能性があるとの見方を示した。2014年10月撮影(2023年 ロイター/Lucy Nicholson/File Photo)

[ロンドン 11日 ロイター] - 国際エネルギー機関(IEA)は11日公表した月報で、石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」による供給削減によって年内に石油在庫が減少し、石油価格が一段と上昇する可能性があるとの見方を示した。また、2024年には経済的な逆風によって世界的な石油需要の伸びが制限されるという。

IEAはOPECプラスの現在の目標が維持された場合、石油在庫は第3・四半期に日量220万バレル、第4・四半期に同120万バレル減少する可能性があり、「価格がさらに上昇するリスクがある」と指摘。「OPECプラスによる供給削減の深化は、マクロ経済に関するセンチメントの改善や史上最高の世界石油需要と相反する」とした。

IEAによると、7月の世界の石油供給はサウジアラビアによる大幅減産などを背景に日量91万バレル減少。ただ、ロシアの7月の石油輸出量は日量約730万バレルで安定していたという。

IEAは来年の需要の伸びが日量100万バレルに急減速すると予想。その理由として、マクロ経済の低迷、パンデミック(世界的大流行)後の景気回復の失速、電気自動車(EV)の急速な普及を挙げた。

「パンデミック後の回復がほぼ完了し、複数の逆風が経済協力開発機構(OECD)の見通しを困難にする中、石油消費の伸びは著しく鈍化する」とした。

IEAの需要の伸び見通しは先月から日量15万バレル減少。OPECが前日に24年の石油需要の伸び見通しを日量225万バレルで維持したのとは対照的になった。

IEAは「世界経済の見通しは金利急上昇と銀行信用の引き締まりに直面する中で依然として厳しく、製造業や貿易の不振への対応をすでに求められている企業を圧迫している」とした。

一方、23年についてはIEAは需要が日量220万バレル拡大すると想定。夏季の航空旅行、発電における石油使用の増加、中国の石油化学セクターでの需要急増が後押しするという。OPECは日量244万バレルの増加を見込んでいる。

IEAによると、今年の需要は平均で日量1億0220万バレルになる見込み。世界最大の石油輸入国である中国の経済健全性を巡る懸念があるにもかかわらず、中国が需要の70%以上を占めるという。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダック過去最高値、エヌビ

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、米雇用好調で7月利下げ観測

ワールド

米ロ首脳が電話会談、ウクライナ早期停戦巡り協議 ロ

ビジネス

米6月雇用、14.7万人増と予想上回る 民間部門は
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 5
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 6
    ワニに襲われた直後の「現場映像」に緊張走る...捜索…
  • 7
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 8
    吉野家がぶちあげた「ラーメンで世界一」は茨の道だ…
  • 9
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 10
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 3
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 4
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 5
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 6
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 7
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 8
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギ…
  • 9
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 10
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 7
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 10
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中