ニュース速報

ワールド

北朝鮮が弾道ミサイル、過去最長の飛翔距離 IRBM火星12型か

2022年10月04日(火)14時15分

 10月4日朝、北朝鮮は5年ぶりに日本を飛び越える弾道ミサイルを発射した。写真は北朝鮮の国旗。クアラルンプールで2021年3月撮影(2022年 ロイター/Lim Huey Teng)

[東京/ソウル 4日 ロイター] - 北朝鮮は4日朝、5年ぶりに日本を飛び越える弾道ミサイルを発射した。ミサイルは青森県上空を通過し、太平洋上に落下。日本は一部地域の住民に避難を呼びかけた。日本政府は過去最長の飛翔距離だったと分析し、中距離弾道ミサイル(IRBM)火星12型の可能性があると推定している。

韓国軍合同参謀本部によると、発射場所は北朝鮮北部の慈江道。日本の防衛省によると、発射時刻は午前7時22分ごろだった。同28─29分に青森県上空を通過後、同44分ごろ日本の東約3200キロの排他的経済水域(EEZ)外に落下したとみられる。

北朝鮮の弾道ミサイルが日本上空を通過するのは2017年9月以来。日本政府は発射を探知後、国民保護情報を発出し、一部地域の住民に避難を呼びかけた。被害の情報はなく、自衛隊が破壊措置を取ることはなかった。

岸田文雄首相は記者団に対し、「度重なる弾道ミサイルの発射に続く暴挙であり、強く非難する」と語った。日本は国家安全保障会議を開催。その後に再度会見した松野官房長官によると、北朝鮮に断固とした措置を取ることを確認した。

北朝鮮は今回、高い角度で打ち上げて飛距離を抑える「ロフテッド軌道」ではなく、通常軌道で発射したとみられる。米カーネギー国際平和財団のアンキット・パンダ上級研究員は「ロフテッド軌道」は「大気圏再突入の熱やストレスにより長くさらされる」と指摘。より現実的な条件下で試射したと話す。

日本政府はミサイルの最高高度は約1000キロ、飛翔距離は約4600キロだったと分析している。会見した浜田靖一防衛相は、発射地点から着弾地点までの推定距離は過去最長だったと考えていることを明らかにした。「北朝鮮は過去4回、火星12型の中距離弾道ミサイルを発射しており、同型の可能性がある」と述べた。

韓国聯合ニュースは、飛行速度マッハ17だったと報じた。韓国軍もIRBMだった可能性があると分析している。

米国はワトソン国家安全保障会議(NSC)報道官が声明を出し、「地域を不安定化させる行動で、北朝鮮が国連安全保障理事会の決議と国際的な安全規範をあからさまに無視していることを示す」と非難した。

また、日米は林芳正外相とブリンケン国務長官が電話で会談。日米、日米韓で緊密に連携することで一致した。さらに韓国も含めた3カ国の高官協議を開き、国連安保理でさらなる対応を取ることなどを確認した。

北朝鮮が弾道ミサイルを発射するのは、ここ10日間で5回目。米韓が大規模な軍事合同演習を5年ぶりに実施し、ハリス米副大統領が訪韓する中、異例の頻度で試射を繰り返した。直近は日米韓が共同で対潜水艦訓練を実施した翌日の1日に、飛行距離400キロ程度のミサイルを2発発射した。

日米韓は北朝鮮が潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の試射や核実験を実施する可能性を懸念している。松野博一官房長官はこの日午前の会見で、「核実験を含めさらなる挑発行為に出る可能性がある」と語った。

*システムの都合で再送します。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

複数の自動車大手巡り英で大規模裁判、排ガス試験で「

ビジネス

エアバス、サプライヤー信頼度向上で今年の生産目標達

ビジネス

世界スマホ出荷台数、第3四半期は伸び加速 AI機種

ワールド

BofAとソジェン、金価格は来年5000ドル到達と
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 3
    車道を一人「さまよう男児」、発見した運転手の「勇敢な行動」の一部始終...「ヒーロー」とネット称賛
  • 4
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃を…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    筋肉が目覚める「6つの動作」とは?...スピードを制…
  • 7
    連立離脱の公明党が高市自民党に感じた「かつてない…
  • 8
    1歳の息子の様子が「何かおかしい...」 母親が動画を…
  • 9
    ウィリアムとキャサリン、結婚前の「最高すぎる関係…
  • 10
    あなたの言葉遣い、「AI語」になっていませんか?...…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    トイレ練習中の2歳の娘が「被疑者」に...検察官の女…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
  • 10
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中