ニュース速報

ワールド

北朝鮮の金総書記、南北間通信再開に前向き 米の「敵視政策」批判

2021年09月30日(木)14時00分

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は、10月から南北ホットライン(直通電話回線)を復活させることに前向きな姿勢を示した。2014年10月撮影(2021年 ロイターDenis Balibouse)

[ソウル 30日 ロイター] - 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は、10月から南北ホットライン(直通電話回線)を復活させることに前向きな姿勢を示した。一方、北朝鮮に対する「敵視政策」を変えずに対話を提案しているとして米国を非難した。北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)が30日、国会に当たる最高人民会議での演説内容を伝えた。

金総書記は、韓国とのホットライン再開に前向きな意向を示した上で、北朝鮮が軍事的挑発を行っているという「妄想」を韓国が抱いていると批判した。

南北ホットラインは7月下旬、約1年ぶりに再開されたが、北朝鮮が米韓合同軍事演習に反発し8月に再び遮断していた。

金氏は、南北間の「関係改善と持続的平和に対する人民の望みを実現する取り組みの一環」として、10月からホットラインを再開する用意があると表明。

その上で、「われわれには韓国を挑発する目的も理由もない。韓国は北の挑発を抑止すべきだという妄想、危機意識、被害意識を早急に捨てることが必要だ」とした。

韓国統一省は、ホットライン再開への金氏の前向きな姿勢を歓迎するとしたが、金氏のその他の発言についてはコメントしなかった。

金氏は米国についてはより強硬な姿勢を示し、バイデン政権が北朝鮮への軍事的な威嚇と敵視政策を追求する一方で対話を提案し、「より狡猾な手段を用いている」と非難した。

バイデン政権はこれまでに、制裁緩和と引き換えに核・ミサイル開発の放棄に向けた協議再開を北朝鮮側に働き掛けたとしている。

だが金総書記は、協議再開と対話の提案は持続的な敵視政策の「隠れみの」にすぎないと一蹴。

「米国は『外交的関与』や『前提条件なしの対話』をうたっているが、それは国際社会を欺き、敵対行為を隠すための小細工にすぎず、歴代の米政権が追求してきた敵視政策の継続だ」と述べた。

外交筋によると、国連安全保障理事会は30日、米英仏の要請により、北朝鮮による直近のミサイル発射実験を巡り非公式会合を開く。

北朝鮮は今週、新たに開発した極超音速ミサイル「火星8」の発射実験を初めて実施した。

アナリストは、北朝鮮の「アメとムチ」戦略には核保有国としての国際的認知を取り付け、米韓関係に不和をもたらす狙いがあるとみている。

ソウルの北韓大学院大学校の梁茂進(ヤン・ムジン)教授は「バイデン政権が交渉再開に向けた具体的な提案をしないことに、北朝鮮はいら立っているようだ」と指摘。

北朝鮮は、大統領選を控える韓国で北朝鮮に対する良好なムードを醸成しようとしており、米国の態度が変わるよう文在寅(ムン・ジェイン)大統領に協力を求めたいのではないかと述べた。

来年5月の任期終了までに外交政策で成果を残したい文大統領は最近行われた国連総会で、朝鮮戦争の終結に向けた決意を改めて表明した。

金氏は、朝鮮戦争の正式な終結には「不公正な二重的態度と敵対的な視点や政策」をまず撤回する必要があると述べた。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア疑惑捜査のモラー元FBI長官死去、トランプ氏

ビジネス

中国首相、フォーラムで一段の経済開放約束 日本企業

ワールド

停戦後に機雷除去で自衛隊派遣検討も、ホルムズ海峡巡

ワールド

ソフトバンクG、米オハイオ州にAIデータセンター建
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 2
    「カメラの目の前」で起きた爆発の瞬間...取材中の記者に、イスラエル機がミサイル発射(レバノン)
  • 3
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 ──「成功」が招く自国防衛の弱体化
  • 4
    スウェーデン次期女王ヴィクトリア皇太子、陸軍訓練…
  • 5
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    人気セレブの「問題ビデオ」拡散を受け、出演する米…
  • 8
    「胸元を強調しすぎ...」 米セレブ、「目のやり場に…
  • 9
    「筋力の正体」は筋肉ではない...ストロングマンが語…
  • 10
    BTSカムバック公演で光化門に26万人、ソウル中心部の…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 4
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 9
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 10
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中