ニュース速報

ワールド

緊急事態宣言5月末まで延長、福岡と愛知追加 首相「五輪は可能」

2021年05月07日(金)21時02分

 5月7日、政府は、東京都、大阪府、京都府、兵庫県に出している緊急事態宣言の延長を正式決定する。写真は五輪の旗が飾られた都内の商店街で5日撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 7日 ロイター] - 政府は7日、東京都、大府阪、京都府、兵庫県に出している緊急事態宣言の延長を正式決定した。期限をこれまでの11日から31日まで延ばし、福岡県と愛知県を追加する。菅義偉首相は会見で、ワクチンの接種を加速化し、接種が進むまで感染拡大を食い止めると強調した。短期集中の措置として連休中に実施した3回目の宣言は新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めをかけることができず、東京五輪の開会は77日後に迫っている。

<変異株拡大、状況改善に時間>

菅首相は、緊急事態地域の拡大と期限延長を正式決定した後、記者会見し、連休中の人流は抑えられたが、新規感染者はステージ4を超える水準だと指摘。変異株も拡大しており、状況の改善に一定の期間を要するとの認識を示した。

ただ、これからは大型連休とは違い、平常時に高い効果が見込まれる措置をとる考えで、大型商業施設への休業要請を午後8時までの時短営業に緩和する。無観客を求めていたイベントの開催は、上限を5000人あるいは収容人数の半分に緩和する。その上で、感染状況が厳しい東京と大阪は、「知事の判断でこれまでの措置を継続できるようにしている」(西村経済再生相)としており、小池百合子東京都知事は1000平方メートルを超える施設は引き続き休業を要請する考えを示した。

酒類とカラオケを提供する店には引き続き休業を要請するとともに、酒類の持ち込みを認める店もこれに加える。

変異株への対応としては、インド、パキスタン、ネパールからの入国者について、3回の検査と6日間のホテル待機を求めるなど、水際対策も強化する。

<地方にも広がる感染、宣言解除は総合的に判断>

まん延防止等重点措置は、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛媛県、沖縄県への適用を31日まで延長する。知事から要請があった北海道と岐阜県、三重県を加える。これまで対象としていた宮城県は11日までで解除する。

感染拡大は首都圏や近畿圏以外にも広がっている。国内メディアによると、この日は岐阜県、福島県、愛知県、岡山県、香川県、大分県、佐賀県、石川県で過去最多の感染者が確認された。東京都でも907人、大阪府は1005人の新型コロナウイルス感染が確認された。

菅首相はこうした状況に対して、1日100万回のワクチン接種を目指し、7月末までに希望する高齢者すべてに接種できるよう、あらゆる手段を尽くす考えを示した。宣言解除の基準については、ステージ4からの脱却を目安とする一方、「専門家や自治体の意見も聞いて総合的に判断する」と語った。

<五輪は感染対策を徹底、中止に23万超の署名も>

4月25日から出していた緊急事態宣言の延長は、東京五輪・パラリンピックの開幕が77日後に迫る中での決定となる。6日にオンラインイベントに登壇した小池百合子都知事は、あらためて開催への意欲を表明。国際オリンピック委員会(IOC)は同日、選手団にワクチンを提供することで米ファイザー、独ビオンテックと合意したことを明らかにした。

首相も会見で、感染対策を徹底することで安全・安心な大会実現は可能との考えを示した。

ただ、今夏の五輪開催巡っては慎重な見方も強まっており、共同通信が4月12日に公表した世論調査では、7割超が中止あるいは再延期を求めた。日弁連の元会長で、都知事選にも出馬した宇都宮健児氏が5日から始めた五輪中止を呼びかける署名は、7日夜の時点で23万を超えた。

東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長はこの日午後の定例会見で、5月中旬と一部で報じられたバッハIOC会長の来日について問われ、「非常に厳しいのではないかと思う」と発言。「宣言が延長されるという状況になっては、非常に困難な状況に来ていただくのもバッハ会長に大きな負担をお掛けするのではないか」と語った。

*カテゴリーを追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ガザで子どもの遺体抱く女性、世界報道写真大賞 ロイ

ビジネス

アングル:日経平均1300円安、背景に3つの潮目変

ワールド

中東情勢深く懸念、エスカレーションにつながる行動強

ワールド

ウクライナ中部にロシアミサイル攻撃、8人死亡 重要
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 4

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 5

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 6

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 10

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中