ニュース速報

ワールド

EU、英への法的措置開始 離脱協定骨抜き法案巡り

2020年10月02日(金)01時42分

10月1日、欧州連合(EU)は、英のEU離脱協定を一部無効にすることが可能となる「国内市場法案」を巡り法的措置を開始した。写真は9月、ブリュッセルで記者会見する欧州委員会のフォンデアライエン委員長。代表撮影(2020年 ロイター)

[ブリュッセル/ロンドン 1日 ロイター] - 欧州連合(EU)は1日、英国がEU離脱協定を一部無効にすることを可能にする「国内市場法案」を巡り法的措置を開始した。

EUの執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、同法案を巡りEUが離脱協定の条項にのっとり英国に正式通知の書簡を送ったと表明。9月末までに国内市場法案の問題部分を撤回するよう求めてきたが、期限が過ぎたためと説明した。

英国は、この書簡に1カ月以内に返答する必要がある。欧州委は、英国からの返答を検討し、満足できる内容なら英国に協定の順守を要求し、満足できなければ欧州司法裁判所に提訴できる。英側に多額の罰金が科せられる可能性もあるが、決着には数年かかるとみられる。

EUと英国は通商分野など将来の関係を巡る公式協議を9月28日から行っているが、見解の相違が大きく合意が見通せない状況となっていた。

EUの措置を受け、英政府報道官は、同国が国内市場法案でアイルランド国境問題など離脱協定の条項を変更する「根拠を明確に示した」と表明。英国内市場の整合性を守るための法的セーフティネットの構築が必要だと述べた。

EU側は、英国が離脱協定を骨抜きにしようとする限り、通商分野などで合意できないと強調。バルニエ首席交渉官は「それがEUと英国の長い交渉の結果だ」とし、北アイルランド紛争を終結させるため結ばれたベルファスト合意(グッドフライデー合意)を守る唯一の方法だとツイッターに投稿した。

英国のゴーブ内閣府担当相は、通商交渉で「相違がなお残っている」としたが、合意に向けて取り組んでいくと述べた。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米8月の貿易赤字、23.8%減の596億ドル 輸入

ワールド

独財務相「敗者になること望まず」、中国の産業補助金

ワールド

EU、AIとプライバシー規制の簡素化案を公表 厳格

ワールド

26年サッカーW杯、低調な米国観光業に追い風 宿泊
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 3
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、完成した「信じられない」大失敗ヘアにSNS爆笑
  • 4
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 5
    「これは侮辱だ」ディズニー、生成AI使用の「衝撃宣…
  • 6
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 7
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 8
    衛星画像が捉えた中国の「侵攻部隊」
  • 9
    ホワイトカラー志望への偏りが人手不足をより深刻化…
  • 10
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 8
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 9
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中