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アゼルバイジャンとアルメニアの衝突巡り仏・トルコが非難の応酬

2020年10月01日(木)14時55分

 旧ソ連のアゼルバイジャンとアルメニアの係争地ナゴルノカラバフ地域を巡る戦闘が激化する中、北大西洋条約機構(NATO)加盟国のフランスとトルコは30日、非難の応酬を繰り広げた。提供写真。(2020年 ロイター/DEFENCE MINISTRY OF AZERBAIJAN)

[エレバン/バクー 30日 ロイター] - 旧ソ連のアゼルバイジャンとアルメニアの係争地ナゴルノカラバフ地域を巡る戦闘が激化する中、北大西洋条約機構(NATO)加盟国のフランスとトルコは30日、非難の応酬を繰り広げた。

27日に始まった軍事衝突は4日目に入り、これまでに数十人の死者と数百人の負傷者が出ている。戦闘はナゴルノカラバフの境界を越えて拡大しており、アゼルバイジャンとアルメニアの間で全面戦争に発展する恐れがある。

トルコのチャブシオール外相は30日、アナトリア通信のインタビューで、アゼルバイジャンから要請があれば軍事支援を行うかとの質問に「必要なことを行う」と答えた。

アゼルバイジャンのアリエフ大統領はトルコの支援に感謝した上で、軍事支援は必要ないと述べた。アルメニア軍が「われわれの土地」を直ちに離れれば戦闘は終わると語った。

チャブシオール氏はまた、フランスのアルメニアに対する支持はアゼルバイジャンにおけるアルメニアの占領を支持しているのも同然だと主張した。

これに対しラトビアを訪問中のマクロン仏大統領はトルコの「好戦的な」メッセージを非常に懸念していると述べた。トルコはアゼルバイジャンにナゴルノカラバフ奪還を促しており「受け入れることはできない」と語った。

<ロシアは仲介を申し出>

ロシア外務省によると、ラブロフ外相は事態を打開するためにアゼルバイジャンとアルメニアの外相による会談を仲介する用意があると表明した。

ラブロフ氏はアゼルバイジャンとアルメニアの外相と個別に電話会談を行い、両者に戦闘を停止し「挑発するような好戦的発言」をやめるよう求めた。

停戦を仲介するためにロシアは独自に取り組むほか、欧州安保協力機構(OSCE)ミンスクグループの他のメンバーと協力する考えを示した。

また独政府筋は欧州連合(EU)が今週の首脳会議でこの問題を協議すると明らかにした。

<犠牲者>

アルメニアのメディアはナゴルノカラバフのアグダラで30日、砲撃により市民3人が死亡し数人が負傷した伝えた。ナゴルノカラバフ当局は死傷者が23人増える可能性があると述べた。

一方、アゼルバイジャン検察当局は同国南部のホラディズでアルメニア側の砲撃により1人が死亡し、死者の数が合計で15人になったと発表した。

アルメニアのパシニャン首相は現時点でロシアに安全保障条約に基づく援助を求める考えはないとする一方で、可能性は排除しないと述べた。

ロイター
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