ニュース速報

ワールド

イタリア地方選、中道派与党が北部の牙城守る 連勝の右派及ばず

2020年01月28日(火)00時52分

 1月27日、イタリア北部のエミリア・ロマーニャ州で26日実施された州知事選は、中道左派の民主党(PD)の現職が、極右「同盟」の候補を抑えて再選する見通しとなった。写真は同盟のサルビーニ党首。イタリアのボローニャで撮影(2020年 ロイター/Flavio Lo Scalzo)

[ローマ 27日 ロイター] - イタリア北部のエミリア・ロマーニャ州で26日投開票された州知事選は、中道左派の与党民主党(PD)の現職が、右派「同盟」の候補を抑えて再選を果たした。

同州は長らく左派の地盤だったが今回、左派と右派が激しく競り合った結果、民主が牙城を守った。一方、これまで地方選で8連勝してきた同盟は及ばなかった。

開票終了時点での得票率は、民主の現職ステファノ・ボナッチーニ知事が51.4%。同盟を中心とした右派連合が推すルチア・ボルゴンゾーニ候補は43.6%だった。

一方、同時に行われた南部カラブリア州の選挙では、反対に右派候補が勝利した。

同盟のサルビーニ氏は、民主と反体制政党「五つ星運動」が国政で組む連立政権の崩壊を狙い、年明け以降エミリア・ロマーニャ州で積極的に選挙戦を展開してきた。

同州は高級スポーツ車メーカーのフェラーリなどが拠点を置き、経済的に最も裕福な州の1つ。

選挙結果は、連立政権の安定にポジティブとの見方からイタリア国債は上昇し、利回りは約3カ月ぶりの水準に低下した。

民主のジンガレッティ書記長(党首)は「エミリア・ロマーニャ州はシグナルを送った。サルビーニ氏は問題の語り方は知っているが、それをどのように解決するかは知らない。それに有権者は反応した」と述べた。

同盟のサルビーニ氏は「選挙戦では最善を尽くした」とし、エミリア・ロマーニャ州では敗北したが、左派の支持を減らせたことに満足していると語った。

有権者の関心は高く、投票率は68%と2014年の前回から約30%ポイント上昇した。

ただ、党首辞任で揺らぐ連立相手の五つ星候補の得票率はエミリア・ロマーニャ州で3.5%、カラブリア州で7%強にとどまり、退潮が鮮明となった。

アナリストは、26日の地方選を受けて国政での連立における五つ星の立場が弱くなり、民主の発言権が強まるとの見方を示した。

テネオのウォルファンゴ・ピッコリ氏はリポートで「今後、政権はほとんどの政策で苦しい状況が続くだろう。五つ星は少なくとも3月に予定する会合までに内部分裂しているだろう」と述べた。

イタリアのコンテ首相は、五つ星への支持が低下しても政権は揺らがないと強調した。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏インフレは当面2%程度、金利は景気次第=ポ

ビジネス

ECB、動向次第で利下げや利上げに踏み切る=オース

ビジネス

ユーロ圏の成長・インフレリスク、依然大きいが均衡=

ビジネス

アングル:日銀、追加利上げへ慎重に時機探る 為替次
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 5
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 8
    【独占画像】撃墜リスクを引き受ける次世代ドローン…
  • 9
    中国、ネット上の「敗北主義」を排除へ ――全国キャン…
  • 10
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中