ニュース速報

ワールド

IS最高指導者、米軍急襲で自爆 米大統領「最優先課題」達成

2019年10月28日(月)08時15分

 トランプ大統領はペンス副大統領(左から2番目)、エスパー国防長官(右から3番目)のほか、国家安全保障会議のメンバーと作戦を見守ったとしている。10月26日、米ワシントンのホワイトハウスで撮影(2019年 ホワイトハウス提供)

[ワシントン 27日 ロイター] - 過激派組織「イスラム国」(IS)の最高指導者アブバクル・バグダディ容疑者が米軍特別部隊の急襲作戦によりシリア北西部で死亡した、とトランプ大統領が27日、ホワイトハウスからのテレビ演説で発表した。同大統領は、2時間に及ぶ作戦で米軍側に犠牲者は出なかったとし、米国が国家安全保障上の最優先課題を達成したと強調した。

ペンス副大統領らと作戦遂行を見守った同大統領は、今回の作戦でのロシア、シリア、トルコ、イラクの支援に感謝を表明。クルド人勢力からも有益な情報を得たことを明らかにした。ただ、米軍のシリア撤退を再考することはないと述べた。

大統領によると、急襲を受けバグダディ容疑者は自爆ベストを爆破させた。15分後のDNA検査で本人と確認されたという。またこの作戦で、米軍は「極秘情報」を入手したという。

トンネルに逃げ込んだバグダディ容疑者を、「(米軍の)イヌがトンネルの行き止まりに追い詰め、そこで彼がベストを爆破させ、3人の子どもとともに死亡した」と述べた。

クルド人民兵組織「人民防衛部隊(YPG)」によると、バグダディ容疑者の側近とされるISのアブ・アルハサン・アル・ムハジル報道官も、シリア北部でのクルドが主導する米軍との別の共同作戦で死亡した。

ムハンマドの後継者を自負し「カリフ」と称したバグダディ容疑者は2010年以降、ISを率いていた。ISは一時シリアやイラクの国土を部分的に掌握し、「カリフ制国家」の樹立を宣言。ここ数年は一時の勢いを失っていたが、いまだ脅威とみなされていた。

バグダディ容疑者はイラクとシリアの国境近くに潜んでいるとみられ、米国は容疑者確保に向け2500万ドルの報奨金をかけていた。

現地の武装勢力幹部によると、作戦は27日未明にシリアのトルコ国境に近いイドリブ県バリシャ村で決行され、ヘリコプターや軍用機、地上部隊を用いて急襲した。米軍はバグダディ容疑者と副官とみられる男のほか、男性3人と女性3人の遺体も回収したという。

米軍とともに参加したクルド人主体のシリア民主軍(SDF)の司令官は、作戦は成功したと言明した。

英国に拠点を置く民間団体のシリア人権監視団は、急襲で女性2人、子供1人を含む9人が死亡したことを明らかにしたが、バグダディ容疑者が含まれているかどうかは確認していない。

バグダディ容疑者の死亡は、かつての勢力を失い、後継者不在のISにとって大きな打撃となる。

米シンクタンク、ブルッキングス研究所のドーハセンターのフェロー、Ranj Alaaldin氏は「バグダディ容疑者の死亡は、ISの勢力拡大や、現在の戦闘員の動員などにおける組織の能力に大きな痛手となる」と指摘。その上で「ISは依然として強力な地下テロ組織として脅威をもたらすだろう」との見方を示した。

ジハーディスト(聖戦士)集団の専門家であるイラクのアナリスト、Hisham al-Hashemi氏は、バグダディ容疑者の死亡がIS内の分裂につながると指摘。「ISの分裂は避けられない。過激派組織がカリスマ的な指導者を失った際には必ずそうなる」と述べた。

トルコのエルドアン大統領は米軍の作戦を歓迎。「われわれが共に取り組んできたテロとの戦いの転機」となると述べた。イスラエルのネタニヤフ首相も、「素晴らしい功績だ」とたたえた。

一方、 国営ロシア通信(RIA)によると、ロシア国防省は米軍の急襲に関する信頼性のある情報はないとし、バグダディ容疑者の死亡に懐疑的な見方を示した。

また、フランスのマクロン大統領は、ISは終わっていないと警告。「バグダディ容疑者の死亡はISに打撃となるが、1つの段階でしかない」と語った。同国内相も、過激派による報復に警戒を強めるよう呼びかけた。

米国と対立するイランは「重要ではない」(アザリジャフロミ通信情報技術相)と取り合わない姿勢を示した。

*内容と写真を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

ニュース速報

ビジネス

日経平均は小反発で始まる、米株高好感も主力銘柄は売

ビジネス

日本の機械受注、5月は前月比プラス1.7% 非製造

ワールド

米地裁判事、ゴーン被告逃亡協力者の早期保釈に否定的

ビジネス

中国人民銀、デジタル通貨の試験で配車大手の滴滴出行

MAGAZINE

特集:香港の挽歌

2020-7・14号(7/ 7発売)

国家安全法で香港の自由と繁栄は終わり? 中国の次の狙いと民主派を待つ運命

人気ランキング

  • 1

    科学者数百人「新型コロナは空気感染も」 WHOに対策求める

  • 2

    「金正恩敗訴」で韓国の損害賠償攻勢が始まる?

  • 3

    中国・三峡ダムに「ブラックスワン」が迫る──決壊はあり得るのか

  • 4

    ヘビのような両生類アシナシイモリの謎 口腔の毒腺…

  • 5

    習近平はなぜ香港国家安全維持法を急いだのか?

  • 6

    新型コロナ、血液型によって重症化に差が出るとの研究…

  • 7

    ロシア諜報機関の汚れ仕事を担う、「29155部隊」は掟…

  • 8

    やはり空気感染はあった? だとすれば対策の強化が必要

  • 9

    ウイグル女性に避妊器具や不妊手術を強制──中国政府…

  • 10

    英会話では英語が身につかない2つの理由

  • 1

    国家安全法成立で香港民主化団体を脱退した「女神」周庭の別れの言葉

  • 2

    中国・三峡ダムに「ブラックスワン」が迫る──決壊はあり得るのか

  • 3

    科学者数百人「新型コロナは空気感染も」 WHOに対策求める

  • 4

    孤立した湖や池に魚はどうやって移動する? ようや…

  • 5

    東京都、新型コロナウイルス新規感染107人を確認 小…

  • 6

    中国・超大国への道、最大の障壁は「日本」──そこで…

  • 7

    英首相ジョンソン、香港市民の英市民権取得を確約 中…

  • 8

    東京都、3日の新型コロナ新規感染は124人 小池知事「…

  • 9

    スウェーデンの悪夢はパンデミック以前から始まって…

  • 10

    ブラックホール爆弾から無限のエネルギーを取り出す…

  • 1

    国家安全法成立で香港民主化団体を脱退した「女神」周庭の別れの言葉

  • 2

    中国・三峡ダムに「ブラックスワン」が迫る──決壊はあり得るのか

  • 3

    科学者数百人「新型コロナは空気感染も」 WHOに対策求める

  • 4

    世界最大の中国「三峡ダム」に決壊の脅威? 集中豪…

  • 5

    中国・超大国への道、最大の障壁は「日本」──そこで…

  • 6

    孤立した湖や池に魚はどうやって移動する? ようや…

  • 7

    東京都、新型コロナウイルス新規感染107人を確認 小…

  • 8

    ポスト安倍レースで石破氏に勢い 二階幹事長が支持…

  • 9

    自殺かリンチか、差別に怒るアメリカで木に吊るされ…

  • 10

    宇宙に関する「最も恐ろしいこと」は何? 米投稿サ…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!