ニュース速報

ワールド

トランプ米大統領、エルサレムをイスラエル首都と正式認定

2017年12月07日(木)08時08分

 12月6日、トランプ米大統領は、エルサレムをイスラエルの首都と認めると正式に発表した。写真はホワイトハウスで同日撮影(2017年 ロイター/Jonathan Ernst)

[ワシントン 6日 ロイター] - トランプ米大統領は6日、エルサレムをイスラエルの首都と認めると正式に発表した。

トランプ大統領はホワイトハウスで行った演説で、和平プロセスの進展に向け「長らく遅延」していた決定を行ったとし、「エルサレムをイスラエルの首都と公式に認定する時期が来たと判断した。これまでの大統領はこの件を主要な選挙公約に掲げてきたが、実行しなかった。私は今、実行に移している」と述べた。

これに伴い、トランプ政権は現在テルアビブにある米国大使館をエルサレムに移転する作業を開始する。移転には何年もかかるとみられている。

エルサレムにはイスラム教、ユダヤ教、キリスト教の聖地があり、その位置付けはイスラエル・パレスチナ間の和平合意の焦点の1つとなっている。

国際社会はイスラエルによる統治を認めておらず、エルサレムの位置付けに関しては交渉によって解決されるべきとしている。

今回のトランプ氏の決定はイスラエルとパレスチナとの紛争において橋渡し役を担ってきた米国の役割を脅かし、米政府がイランやスンニ派のイスラム過激派に対抗するうえで頼ってきたアラブ同盟諸国との関係に亀裂を生じさせる。

イスラエルはエルサレムを「永遠の首都」とみなし、各国の大使館をエルサレムに移転するよう求めてきた。パレスチナは独立国家の首都が東エルサレムに置かれることを求めている。

イスラエルのネタニヤフ首相は「歴史的な日だ」としてトランプ氏の声明を歓迎。他国にもイスラエルにある大使館をエルサレムに移転するよう促した。

またパレスチナとの和平合意では、エルサレムをイスラエルの首都として認める必要があると述べた。

一方、パレスチナ自治政府のアッバス議長は6日、エルサレムについて「パレスチナ国家の永遠の首都」と言及。トランプ氏の決定は米国が平和的な仲介者としての役割を放棄したことと同じと述べた。

ローマ法王フランシスコは、新たな緊張が世界的な紛争を一段と刺激するとし、現状が維持されるよう呼びかけた。中国とロシアは中東情勢を悪化させる可能性があるとの懸念を表明した。

イスタンブールの米国領事館の前には数百万人が集まり、トランプ氏の決定に対し抗議した。

フランスのマクロン大統領はトランプ氏の決定について「遺憾」とし、同決定を支持しないとした。国連のグテレス事務総長はイスラエルとパレスチナの2国家共存に代わるものはないとした。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドルが158円台乗せ、日銀の現状維持

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型グロース株高い

ビジネス

米PCE価格指数、インフレ率の緩やかな上昇示す 個

ワールド

「トランプ氏と喜んで討議」、バイデン氏が討論会に意
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 6

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 7

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「性的」批判を一蹴 ローリング・ストーンズMVで妖…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中