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アングル:断交に反発、豊かなカタールで高まる愛国心

2017年07月08日(土)11時59分

 7月6日、武装勢力を支援しているとして、カタールが、エジプトや近隣のアラブ諸国から国交を断絶され、制裁を科されてから1カ月が経過したが、カタール国民の間では、愛国心が高まっている。写真中央は、カタールのタミム首長を描いた絵。ドーハで5日撮影(2017年 ロイター/Naseem Zeitoon)

[ドーハ 6日 ロイター] - カタールの若者たちは夕暮れ時、巨大な看板に取り付けられたタミム首長の肖像画にサインしようと、首都ドーハにある王族メンバーの邸宅の外に集結した。

武装勢力を支援しているとして、カタールが、エジプトや近隣のアラブ諸国から国交を断絶され、制裁を科されてから1カ月が経過。約30万人のカタール国民の間では、軍事的にエスカレートする可能性を懸念すると同時に、愛国心が高まっている。

カタール政府はそのような嫌疑を否定しており、事態が軍事対立にまで発展する兆しは見えない。だが今回の危機は、国民1人当たりの富で世界一を誇るカタールにおいて、37歳の指導者に対する、人々の国家主義的な支持を押し上げている。

「私たちは街に出て、彼(タミム首長)のために戦う」と、32歳のエンジニアであるアハメド・クワリさんは話す。

国内メディアによると、大勢の男性が軍に志願し、ソーシャルメディアではアラブ諸国の指導者を揶揄(やゆ)する投稿が見られ、対立をあおる一部のアラブ諸国の報道機関が拡散している「フェイクニュース(偽ニュース)」に国民は憤っているという。

サウジアラビア、バーレーン、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)が6日、カタールに対し新たな措置を講じると発表。これを受けて、カタールでは、こうした国々の当局者を笑い者にしようと、画像を加工してツイッター上で共有した。なかにはウサギの耳をつけた閣僚の画像も見られた。

他にも、テロを支援したとしてカタールをUAE外相が叱りつけている画像に続き、カタールのタミム首長が笑いながらお茶を飲んでいる画像なども共有されている。

<ぜいたくな暮らしと楽な仕事>

ぜいたくな暮らしと楽なお役所仕事に慣れ切っている大勢のカタール国民は、UAEやバーレーンに住む親戚やそこに所有する不動産から切り離されている。たとえ不和が解消しても戻らないという人もいる。

UAEからデザインを輸入するドーハの高級服飾店で働くモロッコ人のアミラさんは、今回の仲たがいが、商品購入に対する顧客の決断に影響を及ぼしていると語る。

「人々は布地がどこから来ているのか尋ねるようになった」とアミラさん。「先週、あるカタール人女性はドレスがUAE製であることが分かると『私に見えないようにして』と言った」

自分たちの裕福さと王族を結びつけて考える若いカタール国民から、タミム首長は幅広い支持を受けている。

断交を決めた4カ国は、カタールの支配者交代や、武力行使を試みるいかなる計画も排除している。

「王族の誰一人として彼が退くことなど心配していない」と、カタールを支配する一族のメンバーで、ドーハのジョージタウン大学に通う学生のアヤ・アルワリード・サーニさんは明かした。

<戦争の記憶>

「彼は正統だ。国民を平等に扱う」とアヤさんは言う。

アラビア半島の小国カタールは人口270万人で、その大半が外国人労働者で占められる。同国を支配するサーニ一族は過去数十年間、側近による宮廷革命やサウジアラビアによる介入の脅威にさらされてきた。

しかし1970年代、大量の液化天然ガス(LNG)の発見により、カタールには超高層ビルが建ち並び、ゆりかごから墓場まで手厚い福祉制度の導入が可能となった。国は安定し、外国から投資を呼び込んだ。

1990年のイラクによるクウェート侵攻を含む湾岸地域における数々の戦争を目撃し、今よりも質素な暮らしを知る年配のカタール国民は、この度の確執を若者よりも深刻に受け止めている。

「クウェート侵攻のとき、私の親戚は窓にバリケードを張って外に出なかった。彼らはまた同じことが起きるのを恐れている」と、前述の学生、アヤさんは語った。

また、今回の確執の影響が長引くことを懸念する人たちもいる。

「タミム首長は今後、湾岸諸国と米国のどちらに対しても容易に応じることができなくなる」と、姓を名乗ることは控えた公務員のアハメドさんは語った。

(Tom Finn記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

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