ニュース速報

ワールド

ロンドン襲撃事件で4人死亡・40人負傷、英首相「異常で邪悪」

2017年03月23日(木)11時06分

 3月22日、英ロンドンの国会議事堂付近で22日発生した襲撃事件で、警察当局は死者が4人になったと明らかにした。これまでは警官1人を含む3人とされていた。襲撃犯とみられる男も射殺された。写真は現場に駆けつけた警察官。(2017年 ロイター/Stefan Wermuth)

[ロンドン 22日 ロイター] - 英ロンドンの国会議事堂付近で22日発生した襲撃事件では、4人が死亡、約40人が負傷したと警察当局が明らかにした。襲撃犯とみられる男は射殺された。

英国家テロ対策警備室の責任者、マーク・ローリー氏は記者団に、警察当局は犯人がイスラム主義関連のテロに触発されたと疑っていると述べた。犯人の身元は特定できたと思うと語ったが、詳細は明らかにしなかった。

当局の発表によると、車がウェストミンスター橋の歩道に突っ込み、通行人3人が犠牲になったほか、警官1人が犯人の男に刃物で切りつけられて死亡した。

犯行の暴走車はその後、議会近くの柵に衝突。刃物を持った少なくとも男1人が攻撃を続け、議会への進入を試みた。男は警官を刺殺した後、射殺された。

仏当局者によると、負傷者には15─16歳のフランス人学生が含まれる。

事件を受け、議会は即時閉鎖された。事件発生時、議会内部にいたロイター記者たちは、大きな物音を聞いた後まもなくして、議事堂の敷地内でナイフを持った男と刺されて倒れている警察官を目撃した。

また、ロイターのカメラマンはウェストミンスター橋の上で少なくとも10人以上が負傷しているのを目撃した。撮影された写真には、地面に横たわる人々、なかには大量に出血している人たちやバスの下敷きになっている人が写っている。

英首相府報道官はメイ首相が無事であることを確認した。

メイ首相は犠牲者に哀悼の意を表明するとともに、攻撃を「異常で邪悪」と非難した。

「テロリストは、あらゆる国籍、宗教、文化を持つ人たちが、自由と民主主義、言論の自由という価値を称賛すべく集まっているわれわれの首都中心部で攻撃することを選んだ」とメイ首相は述べ、暴力でこうした価値を打倒しようとするいかなる試みも「失敗する運命にある」と語った。

今後、首相は政府の危機対応委員会を開催する。

ロンドンのカーン市長は「われわれに危害を加え、生活を破壊しようとする者たちに対し、われわれは共に立ち向かう。ロンドン市民は決してテロを恐れない」と語った。市民と訪問者の安全を守るため、市内を警備する警官の数を増やすことを明らかにした。

米ホワイトハウスは、事件を受けてメイ首相とトランプ大統領が電話協議したことを明らかにした。そのなかでトランプ大統領は全面的な協力と支援を申し出たという。また、ティラーソン米国務長官は「恐ろしい暴力行為」と述べ、攻撃を非難した。

ドイツのメルケル首相と北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長も英国との連帯を表明した。

事件が発生した22日はベルギーの首都ブリュッセルで発生した同時攻撃の1周年目にあたる。

*内容を追加します。

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

仏クレディ・アグリコル、第1半期は55%増益 投資

ビジネス

ECB利下げ、年内3回の公算大 堅調な成長で=ギリ

ワールド

米・サウジ、安全保障協定で近く合意か イスラエル関

ワールド

フィリピン船や乗組員に被害及ぼす行動は「無責任」、
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中