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中国が南シナ海の島に地対空ミサイル配備、緊張高まる

2016年02月17日(水)13時29分

 2月16日、台湾と米国の当局者は、中国軍が南シナ海の島に地対空ミサイルを配備したことを確認した。中国の沿岸警備船とベトナム海軍の旗(手前)、南シナ海で2014年撮影(2016年 ロイター/Nguyen Ha Minh)

[台北/ワシントン 16日 ロイター] - 台湾と米国の当局者は、中国軍が南シナ海の島に地対空ミサイルを配備したことを確認した。オバマ米大統領は前日、カリフォルニア州で開催した米・東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議で、関係国に自制を呼び掛けたばかりだが、域内の緊張感が逆に高まる事態となった。

台湾国防部の報道官は、ロイターに対して、ミサイルの砲台がウッディー島に設置されたと述べた。同島はパラセル諸島の一部で中国が実効支配するが、台湾とベトナムも領有権を主張している。

同報道官は「今後の進展を注視する」と述べた上で、「当事者は南シナ海の平和と安定を維持するために協力し、緊張を高めるような一方的措置を取るべきではない」と述べた。

台湾の蔡英文次期総統は、南シナ海で緊張が高まっているとし、全ての当事者は平和的な解決策に向けて努力すべきだと述べた。

中国軍のウッディー島へのミサイル配備は、米ニュース放送局のFOXニュースが最初に報道。その後、米国防総省の高官が確認した。

FOXニュースによると、民間の衛星画像会社のイメージサット・インターナショナル社が撮影した画像には、地対空ミサイルの発射装置8基が設定された2つの砲台とレーダーシステムが写っている。

ニュー・アメリカン・セキュリティ研究所の南シナ海専門家、ミラ・ラップ・フーパー氏は、中国がパラセル諸島にそうした兵器を持ち込むのは初めてではないと話す。「地対空ミサイルの配備は大きな事件であり、(米軍が南シナ海で実施した)航行の自由作戦への中国側の回答なのかもしれないが、全く新たな動きとは言えない」と述べた。

<オバマ大統領「平和的解決を」>

オバマ大統領は16日、米・ASEAN首脳会議で、南シナ海の緊張緩和に向けた具体的措置の必要性を協議したと明らかにした。

また、各国はいかなる領有権問題も平和的に法的手段を通じて解決されなければならないとの認識で一致したと語った。

オバマ大統領は首脳会議の最後に「米国とASEANは国際法と国際規範、大小問わずすべての国の権利が守られる地域秩序に対する強いコミットメントを再確認した」と発言。「われわれは南シナ海の緊張緩和に向け、領有権が争われている海域におけるさらなる埋め立てや新たな建設、軍事化の中止を含めた具体的措置の必要性を協議した」と語った。

首脳会議後の共同声明では、すべての国の主権、領土の一体性、平等と政治的独立を相互に尊重すべきと提唱した。

*内容を追加して再送します。

ロイター
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