米イラン停戦で日経5万6000円回復、原油急落しリスクオフの巻き戻し
東証で4月6日撮影(2026年 ロイター/Issei Kato)
Noriyuki Hirata
[東京 8日 ロイター] - 8日の東京市場で日経平均は一時2600円超上昇し、心理的節目の5万6000円を3月5日以来、1カ月ぶりに回復した。米国とイランが2週間の停戦で合意したと伝わって原油先物価格が急落し、株式市場に安心感が広がった。東証プライム市場では9割超の銘柄が上昇し、全面高となっている。
トランプ米大統領は日本時間の8日朝方、交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」に「イランへの爆撃と攻撃を2週間停止することに合意した」と投稿した。一方、イランのアラグチ外相は8日の声明で、自国への攻撃が停止されればイランも攻撃を停止すると述べた。ホルムズ海峡の安全な通航については、イラン軍との調整の下で2週間可能になるとした。
市場ではイラン情勢を警戒したリスクオフの巻き戻しが目立つ。東証33業種では29業種が上昇し、これまで原油高や中東での紛争に伴う運賃上昇などの思惑で買われていた鉱業や海運、石油・石炭製品などは下落している。
アセットマネジメントOneの浅岡均チーフストラテジストは、米国産標準油種WTI先物が1バレル=100ドルを割り込み90ドル台に急落したことで、原油高による企業業績の下押し圧力が和らぐとみており「決算発表で半導体関連など原油高の影響を受けにくい分野の業績がしっかりなら、株価指数の一段高はありそうだ」と話す。
指数寄与度の高いAI(人工知能)・半導体関連株は、アドバンテストや東京エレクトロン、ソフトバンクグループがいずれも大幅高。ファーストリテイリングを加えた4銘柄で日経平均を約1200円押し上げている。
ドル/円は158円台に急落した。停戦が伝わったことでドル買いの巻き戻しが生じた。ステート・ストリート銀行の若林徳広東京支店長は「株価上昇などリスクオンがテーマとなりそうで、ドル/円との相関性が戻るのか注目される」と話す。
新発10年債利回りは一時2.355%まで低下。野村証券の岩下真理エグゼクティブ金利ストラテジストは「行き過ぎたリスクオフやインフレ、財政懸念は収まり、金利上昇圧力もいったん落ち着くだろう」とみている。
<紛争終結には曲折も>
停戦がどの程度継続するか、紛争終結につながるかが今後の焦点になりそうだ。米国とイランの双方が高い条件を掲げており、不透明な部分は残ると受け止められている。
米国は米中首脳会談や5月末からのドライビングシーズンが控えているだけに、ここからは出口を模索する方向だろうと、アセマネOneの浅岡氏はみており「株価はダウンサイドへの警戒感が後退するだろう」と話す。
一方、イランがパキスタンの提案に合意したと言っていることが、政治的な駆け引きとも読み取れるとの見方もある。「合意とは言っても、双方が違うものに合意しているのではないかとの解釈も生まれ得るものだ。2週間の攻撃停止を、額面通り受け取れるのかも分からない」とステート・ストリートの若林氏は話す。
WTIがイラン攻撃前の70ドル割れの水準に戻るのか、ホルムズ海峡を巡る混乱が解消されるかなど2次的影響を含め、完全にインフレ懸念は払拭できない状況と野村の岩下氏はみており「(長期金利は)2%まで一方向に低下するという状況ではない」と指摘する。
4月27日─28日には日銀の金融政策決定会合が控える。「まずは中東情勢を巡る不確実性が消えるかどうかが焦点」と野村の岩下氏は話している。
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