世界の国債価格、3月下落率はここ数年で最大に 中東紛争による物価高懸念
米ドル、ユーロ、円、ポンドなどの紙幣。3月24日撮影のイメージ写真。REUTERS/Dado Ruvic/Illustration
Rae Wee Alun John Gertrude Chavez-Dreyfuss
[シンガポール/ロンドン/ニューヨーク 30日 ロイター] - 世界の国債価格は3月の下落率は、月間としてここ数年間で最大となる見通しだ。米国とイスラエルのイラン攻撃に端を発した中東紛争の長期化を受けてインフレ率が急騰し、経済に打撃を与える可能性を投資家が一段と織り込んでいることが背景にある。
中東紛争による過去最悪のエネルギー供給の混乱に市場が動揺している中で、石油とガスの価格が急騰。全般の物価が上昇するとの見方が強まり、米国と欧州、日本をはじめとする主要な国債が売られ、価格と逆の動きをする利回りは上昇している。
米国債2年物利回りは3月に45ベーシスポイント(bp)上昇し、上昇率は2024年10月以来1年5カ月ぶりの大きさとなる。30日は前日より8.6bp低下の3.83%となった。
この動きは、米連邦準備理事会(FRB)が年内に追加利下げをするとの投資家の従来予想が撤回されたことを反映している。長期金利の指標となる米国債10年物利回りは3月に40bp弱上昇し、4.39%程度になっている。
日本国債の利回りは30日に約30年ぶりの高水準まで急騰し、3月には13bp上昇した。
ブリン・モーア・トラスト(米ペンシルベニア州)の債券部門ディレクター、ジム・バーンズ氏は「FRBは成長鈍化の点だけでもフェデラルファンド(FF)金利を引き上げるのが難しいだろう」とし、「金利を引き下げるのも非常に困難になるだろう。インフレ率は3%であり、多くの予想によると今後は低下するのではなく、上昇するとみられている」と指摘した。
<欧州国債の動きはさらに顕著>
欧州の国債価格はさらに大きく動いた。英国債2年物利回りは3月に98bp上昇し、伸び率はトラス元政権下で市場が混乱した2022年以来の大きさとなった。10年物利回りも70bp上昇した。
ドイツの2年物利回りは3月に61bp、10年物は40bp弱それぞれ上昇。10年物利回りは先週、約15年ぶりの高水準となる3.13%まで上がった。
他のユーロ圏諸国と比べてエネルギーショックの影響を受けやすいと投資家がみなしているイタリア国債の利回りは、英国とほぼ同程度で推移している。2年物利回りは3月に85bp、10年物は78bpそれぞれ上昇した。
ベレンベルクのシニアエコノミスト、フェリックス・シュミット氏は「このスタグフレーションのシナリオ下で、インフレのリスクとバランスを取りながら、過度に利上げして経済にさらなる打撃を与えないようにするのは、欧州中央銀行(ECB)や他の中央銀行にとって非常に難しい状況だ」と言及する。
<中国国債は堅調>
アジア・太平洋地域では、オーストラリア国債3年物利回りが3月に約50bp上昇し、伸び率は1年5カ月ぶりの大きさとなった。ただ、30日には4.72%前後まで低下した。
日本国債10年物利回りは3月に25bp上昇し、昨年12月以来、3カ月ぶりの大きさとなる見込みだ。
これに対し、世界2番目の経済大国である中国の国債は比較的堅調に推移している。国債2年物利回りは11bp超下落し、下げ幅は2024年12月以来1年3カ月ぶりの大きさとなる見通しだ。中国が抱える豊富な原油備蓄、再生可能エネルギー分野での優位性、抑えられたインフレ率を踏まえると、中東紛争による打撃を比較的受けにくいと予想されていることが背景にある。





