英金融市場がトリプル安、所得税率引き上げ断念との報道で
米ドル、ユーロ、ポンド紙幣(2025年5月4日撮影)。REUTERS/Dado Ruvic
Alun John Dhara Ranasinghe
[ロンドン 14日 ロイター] - リーブス英財務相が今月の予算案で予定していた所得税率の引き上げを断念したと英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が報じたことを受けて、14日の金融市場で通貨ポンド、国債、株式が急落した。
債券利回りは一時10ベーシスポイント(bp)超上昇し、ポンドは対ドルで0.5%近く下落した。
ロンドン市場の取引が始まると値動きはやや落ち着いたものの、不安を反映し全体としては軟調な地合いとなっている。
英10年物国債利回りは直近で7bp上昇の4.50%。1日の上げ幅としては9月以来の大きさとなっており、米10年債と独10年債をアンダーパフォームしている。
ポンドは直近で約0.25%安の1ポンド=1.316ドル付近と、取引時間中の安値からは持ち直している。ユーロは対ポンド で、一時2023年4月以来の高水準となる1ユーロ=0.8864ポンドまで上昇した。
優良株で構成するFTSE100種指数は1%超下落し、バークレイズ、ロイズ、ナットウエストなどの銀行株はそれぞれ2.5%超下落した。
トレーダーはリーブズ氏が所得税を引き上げない場合、財政の穴を埋めるために銀行への課税を強化する必要が生じる可能性があるとの見方を示している。
CIBCマーケッツのG10為替戦略部門責任者ジェレミー・ストレッチ氏は「政府が財政不足に対処するための措置を講じることを市場は明らかに期待していた。それは所得税の引き上げを意味する」と述べた。
「もしFTの報道が正しければ、政府が財政状況を改善しようとしていることへの信頼が揺らぐことになる。つまりわれわれが目にしているのは、市場、とりわけ債券市場からの信頼感の欠如だ」と指摘した。





