ニュース速報
ビジネス

金融資産のトークン化、新たなリスク生む可能性 IOSCOが指摘

2025年11月11日(火)18時37分

写真は暗号資産(仮想通貨)のイメージ。9月撮影。REUTERS/Dado Ruvic

Elizabeth Howcroft

[パリ 11日 ロイター] - 世界各国の証券監督当局などで構成する国際機関、証券監督者国際機構(IOSCO)は11日発表した報告書で、株や債券などの実物資産の所有権や権利をブロックチェーン技術でデジタルトークンとして発行する「トークン化」について、金融業界ではその意義について意見が分かれており、投資家に新たなリスクをもたらす可能性があると指摘した。

トークン化に関するリスクは大部分が既存の枠組みの範囲内だが、基礎となる技術に起因する新たなリスクや脆弱性が生じる可能性があると述べた。

IOSCOの理事会レベルのフィンテックタスクフォースのトゥアン・リー・リム議長は、「トークン化は、導入はまだ限定的ながら、金融資産の発行、取引、サービス提供の方法を変える可能性を秘めている」と述べた。

トークン化された資産の構造化方法が複数あることで投資家は原資産を所有しているのか、あるいはトークンを所有しているだけなのか分からなくなる可能性があり、サードパーティーのトークン発行者はカウンターパーティーリスクを生む恐れがあると指摘。

「トークン化は、暗号資産市場との相互連携が強まることによる波及効果の影響を受ける可能性もある」と述べた。

金融業界では、ナスダックなどのようにトークン化を推進する機関もあれば、リスクを懸念する企業もある。

トークン化推進派は、ブロックチェーンを利用することで取引コストの低下、決済の迅速化、24時間取引が可能になり、若い投資家を引き付けることができると主張する。

IOSCO は、市場参加者は取引プロセスをブロックチェーンに置き換えるのでなく、従来の市場インフラを使用する必要があるとして、「効率性の向上は不均一」と指摘した。「発行体は、実際に定量化できる効率性の向上があったとしても、それを公表する傾向はない」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

独ZEW景気期待指数、11月は予想外に低下 現況は

ビジネス

グリーン英中銀委員、賃金減速を歓迎 来年の賃金交渉

ビジネス

中国の対欧輸出増、米関税より内需低迷が主因 ECB

ビジネス

インフレリスクは均衡、想定より成長底堅い=クロアチ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一撃」は、キケの一言から生まれた
  • 2
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    コロンビアに出現した「謎の球体」はUFOか? 地球外…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    ギザのピラミッドにあると言われていた「失われた入…
  • 7
    インスタントラーメンが脳に悪影響? 米研究が示す「…
  • 8
    中年男性と若い女性が「スタバの限定カップ」を取り…
  • 9
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 10
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 8
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 9
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中