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金融庁、日本の金融政策・金利動向が地銀に与える影響把握へ

2023年08月29日(火)17時03分

 8月29日、金融庁は新たな行政方針を公表し、金融経済情勢や世界情勢を的確に把握し、金融機関に対し深度あるモニタリングを実施するとした。写真は2014年8月、都内で撮影(2023年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 29日 ロイター] - 金融庁は29日、新たな行政方針を公表し、金融経済情勢や世界情勢を的確に把握し、金融機関に対し深度あるモニタリングを実施するとした。日本でも金融緩和政策に修正の動きが出ていることから、特に金融政策・金利動向や大口与信先の状況等が地域銀行に与える影響や各行の対応を把握する方針を示した。

行政方針は、今年7月から来年6月までの金融庁の取り組みをまとめたもの。環境が変化する中でも、金融機関は健全性を維持しつつ、金融仲介機能を十分果たしていくことが求められると指摘。金融庁としては「金融経済情勢や世界情勢を的確に把握」し「金融機関に対する深度あるモニタリングを実施していく」とした。

メガバンクを含む主要行等の信用リスクについては、内部格付の付与や償却・引当に関するプロセス、事業再編資金等のニーズの高い分野の融資慣行について対話を行い「各行における必要な対応を促す」とした。市場・流動性リスクについては、前事務年度同様、有価証券運用や外貨流動性に関するリスクの管理体制を「重点的に検証し、その高度化を促す」としている。また、ネット専業銀行等についても「流動性リスク管理態勢に関するモニタリングを行う」とした。

引き続き、日銀と共同でストレステストを実施することも盛り込んだ。

地銀については「経営基盤を強化し、持続可能なビジネスモデルを確立することが重要」とし「時間軸を意識しながら、果断な経営改革を進める必要がある」と指摘した。課題解決に向けて経営資源をどのように配分するかの検討が不可欠だとし、金融庁・財務局は、こうした点に十分留意しながら対話を行っていく方針。

また「国内外の金融情勢、とりわけ日本の金融政策・金利動向や大口与信先の状況等が地銀に与える影響や各行の対応を把握する」とした。リスクテイクの状況を踏まえながら、有価証券運用の状況や市場リスク管理態勢、流動性リスク管理態勢、LBO(レバレッジド・バイアウト)ローン、ノンリコースローンを含む不動産向け融資、大口融資や県外融資の審査・期中管理態勢等について「必要に応じて検査等も活用し、モニタリングしていく」とも記した。

グローバルに事業展開をしている大手証券には、海外ビジネスでの安定的な収益確保に向けた具体的な戦略・施策やその取り組み状況、リスク管理態勢の構築に関するモニタリングを行う。

保険会社では、中古車販売大手のビッグモーターによる保険金の不正請求問題などが明らかになったことを踏まえ、不適切な行為の全体像や原因究明を徹底的に行い、保険契約者保護に欠ける問題があった場合には、法令に基づき厳正に対応し、有効な再発防止策の策定・実施に取り組むとした。

ロイター
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