ニュース速報

ビジネス

中国不動産部門、投資家は国有企業を選好

2023年08月08日(火)18時24分

 市場関係者によると、中国の不動産部門の回復に賭ける投資家は国有不動産会社の株式や社債を選好している。写真は上海で建設中の集合住宅。2022年7月撮影(2023年 ロイター/Aly Song)

[上海/香港 8日 ロイター] - 市場関係者によると、中国の不動産部門の回復に賭ける投資家は国有不動産会社の株式や社債を選好している。民間企業より政府の支援策の恩恵を受ける可能性が高いとの見方が背景だ。

中国共産党中央政治局は先月、不動産政策を適切な時期に調整・最適化する方針を表明。中国人民銀行(中央銀行)も不動産部門を支援する方針を示した。鄭州など一部の都市はすでに不動産規制の緩和に着手している。

投資家の間では国有企業の方が低利で資金を調達できるのではないかとの見方が浮上。主に民間企業で構成する香港上場の本土系不動産株指数は今年30%近く下落しているが、民間企業の比率が相対的に少ない本土上場の不動産株指数は13%の下落にとどまっている。

個別株でも、国有の越秀地産や華潤置地の株価収益率(PER)は8倍だが、碧桂園など一部の民間不動産会社のPERは2倍以下。

碧桂園やCIFIホールディングスなど、一部の民間不動産会社は格付けも投機的等級だ。

アリアンツ・グローバル・インベスターズのジェニー・ゼン最高投資責任者(アジア債)は「国有か、投資適格級、もしくは地元の金融機関が保有・提携している不動産開発会社は、長期的に低利で資金を調達できるだろう」と指摘した。

一方、S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのデータによると、中国の民間不動産会社を中心とするアジアの不動産株の空売り残高は4月以降増加しており、7月には時価総額に占める比率が0.75%に達した。

イーストスプリング・インベストメンツの債券リード・ポートフォリオマネジャー、ワイ・メイ・レオン氏は、政府系か政策上の目的のある非常に質の高い不動産会社にしか投資しないと述べた。

国有企業は負債の圧縮と資金調達の改善を追い風に市場シェアを伸ばしている。キャピタル・エコノミクスの推計によると、国有企業の不動産販売シェアは歴史的に見ると3割強だったが、近年は59%まで上昇している。

中国房産信息集団のデータでは、上半期の不動産販売上位5社は全て国有企業だった。

広州市政府系の越秀地産の5年債は昨年11月の60セントから92セントまで回復。民間のCIFIの5年債は8セント前後で取引されている。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル内閣、26年度予算案承認 国防費は紛争前

ビジネス

ネットフリックス、ワーナー資産買収で合意 720億

ワールド

EU、Xに1.4億ドル制裁金 デジタル法違反

ビジネス

ユーロ圏第3四半期GDP、前期比+0.3%に上方修
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させられる「イスラエルの良心」と「世界で最も倫理的な軍隊」への憂い
  • 3
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 4
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 5
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開…
  • 6
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 7
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 8
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 9
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 10
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 4
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 7
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 10
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中