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AT1債の需要「永久破壊」も、市場全体へのリスク限定的=GS

米ゴールドマン・サックス(GS)のストラテジストは、クレディ・スイスのAT1債を無価値化するスイス当局の決定により、この種の債券に対する需要が長期的に減少する可能性があるとの見方を示した。ニューヨーク証券取引所で2021年11月撮影(2023年 ロイター/Andrew Kelly)
[ニューヨーク 20日 ロイター] - 米ゴールドマン・サックス(GS)のストラテジストは、クレディ・スイスのAT1債(その他ティア1債)を無価値化するスイス当局の決定により、この種の債券に対する需要が長期的に減少する可能性があるとの見方を示した。ただ、この資産クラスが比較的ニッチであることから信用市場全体に影響が波及するリスクは限定的にとどまると指摘した。
クレディ・スイスは、UBSによる買収の一環としてスイス当局の指示の下、約170億ドル相当のAT1債を無価値化する。
この種の債券への投資リスクが意識され、20日には他の欧州の銀行が発行したAT1債の価格が急落した。
ゴールドマンのチーフクレジットストラテジスト、ロトフィ・カルーイ氏は「多くの人を驚かせた結果に対する反射的な反応だ」とロイターに語った。
その上で「長期的には需要が永久に破壊される可能性があることを少し懸念している。投資家は特に金融危機が高まる中ではこうした金融商品のリスクとリターンを再評価する必要があるだろう」と述べた。
ただ、AT1債の市場規模を踏まえると、信用市場全体に影響を及ぼすリスクは限定的だとした。
AT1債は銀行の資本水準が一定の基準を下回った場合に緩衝材として機能し、株式に転換されたり、償却されたりすることがある。