ニュース速報

ビジネス

米財務長官、途上国の債務救済で議会に予算要請

2021年06月11日(金)09時55分

イエレン米財務長官は10日、最貧国を対象とした債務支払猶予イニシアチブ(DSSI)と債務措置に係る共通枠組みについて、議会による資金手当を必要としており、追加資金が得られない場合、未払いの負担額が現在の27億ドルから増大すると警告した。写真はイエレン長官。5日撮影(2021年 ロイター/Justin Tallis)

[ワシントン 10日 ロイター] - イエレン米財務長官は10日の議会証言で、貧困国や発展途上国向けの債務救済措置に向けた予算が必要だと語った。

イエレン氏は下院歳出委員会での証言で、20カ国・地域(G20)の債務返済猶予イニシアティブ(DSSI)と債務再編の新たな「共通枠組み」双方において、議会による追加資金手当てが必要だと指摘。追加予算がなければ、共通枠組み下で米国は多国間の債務処理先延ばしを余儀なくされ、DSSIの金利も跳ね上がるおそれがあると説明した。

2022年度の財務省の予算要求にはこれらの取り組みに加えて、最貧国を対象とした世界銀行の国際開発協会基金など、国際金融機関に米国が表明した拠出分も含まれていると説明した。

予算案には今回米国が初めて拠出するIMFの貧困削減・成長トラスト(PRGT)向け資金も含まれているとし、さらに、IMFの準備資産である特別引き出し権(SDR)を通じて米国の貧困国への融資を可能にする予算も盛り込まれていると説明した。

IMFは、緊急時にドルやユーロなどを引き出せるSDRを6500億ドル増額し、加盟国に対して年内新たに配分する計画。

共和党議員からはSDR発行が中国やロシア、イランなどを利することにならないかとの質問が出た。イエレン氏は、中国とロシアへはIMF加盟国としてSDRが割り当てられ、両国とも活用には消極的だとの見方を示した。経済制裁に直面しているイランについては、交換先をみつけるのが難しいと指摘した。

軍が政権を掌握したミャンマーがSDRを活用する可能性はあるかとの質問に対しては「ミャンマーはSDRを使用することができない。政府が力ずくで政権を握った場合、出資額規模で過半数がその政府を認めない限り、IMFはその政府とやり取りしない。そうしたことは起きてない」と語った。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル小幅高、米利下げ観測で5週ぶり安

ビジネス

米国株式市場=ほぼ横ばい、FRBの利下げ期待が支え

ワールド

ウクライナ外相「宥和でなく真の平和を」、ミュンヘン

ワールド

イスラエル、欧州歌謡祭「ユーロビジョン」参加決定 
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させられる「イスラエルの良心」と「世界で最も倫理的な軍隊」への憂い
  • 3
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 6
    「ロシアは欧州との戦いに備えている」――プーチン発…
  • 7
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 8
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 9
    【トランプ和平案】プーチンに「免罪符」、ウクライ…
  • 10
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 4
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 7
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 10
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中