ニュース速報

ビジネス

米12月CPI総合0.4%上昇、ガソリン価格高騰 コア指数緩やか

2021年01月14日(木)02時37分

米労働省が13日に発表した2020年12月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前月比0.4%上昇し、市場予想と一致した。ジョージア州コロンバスで昨年9月撮影(2021年 ロイター/ELIJAH NOUVELAGE)

[ワシントン 13日 ロイター] - 米労働省が13日に発表した2020年12月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前月比0.4%上昇し、市場予想と一致した。ガソリン価格の大幅な値上がりが物価全体を押し上げ、伸びは前月の0.2%から拡大した。

前年比でも1.4%上昇と、前月の1.2%を上回った。

20年全体の伸びは1.4%と、前年の2.3%から鈍化し、15年以降で最低となった。過去10年間の伸びは平均で1.7%。

こうした中、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は、12月に前月比0.1%上昇し、予想と一致。新型コロナウイルス禍に伴い、中古自動車や娯楽、航空、医療の各分野で価格が値下がりした。前年比の伸びは1.6%で前月と変わらず。20年全体では1.6%上昇し、19年の2.3%から鈍化した。過去10年間の伸びは平均で2%に届いていない。

コア個人消費支出(PCE)価格指数の伸びは1.4%と、連邦準備理事会(FRB)が目標とする2%を大幅に下回っている。FRBは、最大雇用と物価安定の目標達成に向けて「さらに著しい進展が見られるまで」量的緩和を継続すると明言している。

ING(ニューヨーク)のチーフインターナショナルエコノミスト、ジェームズ・ナイトレーは「2020年の悲惨な時期と比較して、21年は経済再開によるベース効果で短期的にインフレが急上昇する可能性が高いものの、それも年後半には薄れるだろう」とした上で、長期的な物価上昇は主に賃金コストによってけん引されると予想した。

内訳では、ガソリンが前月比8.4%上昇し、過去2カ月間の下げから一転、値上がりに転じた。食品も0.4%上昇し、前月の0.1%下落から反転。自宅内食品と自宅外食品はともに0.4%上昇した。帰属家賃は0.1%上昇。前月は横ばいだった。

一方、医療費は0.2%下落し、前月の0.1%から下げが拡大した。中古自動車・トラックは1.2%下落し、3カ月連続で落ち込んだ。航空運賃は2.3%下落。宿泊は変わらずだった。

米供給管理協会(ISM)が発表した昨年12月の製造業統計は、コロナ禍で引き起こされたサプライチェーン(供給網)の障害を受け、支払価格が2年半ぶりの水準に上昇した。

キャピタル・エコノミクス(トロント)の米国担当チーフエコノミスト、ポール・アシュワース氏は「在庫が現サイクルの初期段階にしては異常に不足しており、もしワクチン接種計画が成功して今年後半に正常な状態に戻れば、これまで抑え込まれていた需要の顕在化でインフレ率は2%以上の水準にとどまる可能性がある」と指摘した。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

小泉防衛相、中国軍のレーダー照射を説明 豪国防相「

ワールド

米安保戦略、ロシアを「直接的な脅威」とせず クレム

ワールド

中国海軍、日本の主張は「事実と矛盾」 レーダー照射

ワールド

豪国防相と東シナ海や南シナ海について深刻な懸念共有
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 6
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 7
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 8
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 9
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中