ニュース速報

ビジネス

FRB、新たな資産購入ガイダンスを近く公表も=議事要旨

2020年11月26日(木)07時58分

米連邦準備理事会(FRB)が25日に公表した11月4─5日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、FRBが資産購入について、期間や年限などを含む新たなガイダンスを近く示す可能性があることが分かった。ワシントンのFRB本部で昨年3月撮影(2020年 ロイター/Leah Millis)

[25日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が25日に公表した11月4─5日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、FRBが資産購入について、期間や年限などを含む新たなガイダンスを近く示す可能性があることが分かった。FRBは、市場と経済への支援を強化すべきという構えだ。

議事要旨によると、新たなガイダンスでは、資産購入を縮小する際の具体的な条件を示す可能性もある。

先行きが不透明なため、少数の参加者はガイダンスに短期的な変更を加えることに消極的な姿勢を示したが、議事要旨では「多くの参加者が、近いうちに資産購入のガイダンスを強化することが望ましいと判断した」とされた。

参加者は資産購入が経済を支えており、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による先行き不透明感から生じ得るリスクに対する「保険」になっているとの見解で一致した。

新型コロナウイルスの感染増加を受けて、経済の下振れリスクに懸念を示す声が出たほか、少数の参加者は「追加の大規模な財政支援の可能性が低下している」ことへの警戒感も示した。

大半の参加者は、予想される資産購入の期間と経済条件を関連付ける定性的な結果に基づく資産購入のガイダンスに移行することを支持。

大半の参加者は、資産の購入ペースや構成を経済状況に関連付けるフォワード・ガイダンスに移行するべきだと述べた。FRBは政策金利を引き上げ始める前に資産購入を終えることを示唆。今年初めにゼロ付近に引き下げた金利は、少なくとも2023年までこの水準に維持される見通し。

議事要旨では「大半の参加者がガイダンスは、FOMCがフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を引き上げる前に、資産購入の伸びを減らし、そして停止することを示唆する内容であるべきだと判断した」と明記された。

複数の参加者は前回の資産購入時と同様に、資産購入の停止後は保有高の減額を始める前に段階を踏むべきだと考えている。

一部の参加者は資産購入で、将来的に対象年限が長期化するとの見通しを示した。

数人の参加者は、FRBが資産購入で提供できる支援には限界があると指摘し、予期せぬ結果をもたらす恐れがあると懸念を示した。

FRBは11月の会合で金利を据え置いた上で、米国の経済回復を支えるために全力を尽くす姿勢を改めて強調した。

パウエルFRB議長はこの会合後の記者会見で、資産購入を調整する選択肢を協議したと説明。現在の月々1200億ドルの購入ペースが適切な経済支援を提供しているとの結論に至ったという。

ただ、このところ新型コロナ感染が急増している上、ムニューシン財務長官は先週、新型コロナ危機を受けてFRBが導入した緊急融資プログラムの一部について、期限を延長せずに資金の未使用分を財務省に返却するよう要請した。こうしたことを背景にFRBは当初予想よりも早く行動を取る必要が出てくる可能性がある。

FRBは緊急融資が企業や地方自治体の支えとなっているとの見方で、ムニューシン氏の要請は想定外だった。12月15─16日のFOMCでは資産購入の今後の計画について詳細を明らかにする圧力がFRBにかかる可能性がある。

新型コロナ感染の再拡大を受け一部の投資家はすでに、FRBが景気支援を強化するために資産購入を拡大するか、債券の年限を調整するとみていた。

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズの投資担当チーフストラテジスト、マイケル・アローン氏は、議会で財政政策がまとまらない場合、早ければ次回12月15─16日のFOMCで資産購入プログラムを微調整し、金融状況を一段と緩和させる可能性があると予想。

「多くの連銀当局者が、金融緩和をさらに強化したいと望んでいることは明らかだ。新型コロナの感染増加で米経済は悪戦苦闘している」と述べた。

ジェフリーズのエコノミスト、トマス・サイモンズ、アネタ・マーコワスカの両氏は、資産買い入れ計画に変更を加える前にフォワードガイダンスが更新される可能性が高いとの見方を示した。

米セントルイス地区連銀のブラード総裁は24日、新型コロナウイルスワクチンの開発進展を巡るニュースはコロナ危機が終息する可能性を示唆しており、資産購入を調整する必要はないとの考えを示した。

米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は24日、資産購入は市場と経済双方を支えており、必要に応じて調整することができると述べた。「現時点で目的に十分かなっている」とウォール・ストリート・ジャーナル紙に語った。

ブラード総裁もウィリアムズ総裁も市場が改めて逼迫した場合、緊急融資を再開できるとの見解を示した。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米雇用、11月予想上回る+6.4万人・失業率4.6

ビジネス

ホンダがAstemoを子会社化、1523億円で日立

ビジネス

独ZEW景気期待指数、12月は45.8に上昇 予想

ワールド

トランプ氏がBBC提訴、議会襲撃前の演説編集巡り巨
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 8
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    「日本中が人手不足」のウソ...産業界が人口減少を乗…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中