ニュース速報

ビジネス

地域金融強化の新制度、現行政策の枠組みに影響せず=日銀総裁

2020年11月24日(火)17時34分

日銀の黒田東彦総裁は24日、参議院財政金融委員会で当面は感染症の影響を注視し、必要があれば躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる方針だと述べた。 写真は今月5日、参院予算委員会で答弁する黒田総裁(2020年 時事通信社)

[東京 24日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は24日、参院財政金融委員会で「通貨及び金融の調節に関する報告書」(半期報告)を説明した。現時点で金融政策の枠組みを全面的に見直す予定はないものの、見直しに向けて「将来、適切な時点で議論することはあり得る」と話した。このほど導入を決めた地域金融機関の経営効率化支援策についても、現在の金融政策のフレームワークに影響を与えるものではないとの見解を示した。

<市場はなお神経質、緩和の出口検討するタイミングではない>

先行きの経済・物価見通しは不確実性が高く、下振れリスクが大きいと指摘。当面は感染症の影響を注視し、必要があれば躊躇(ちゅうちょ)なく追加的な金融緩和措置を講じる方針だと述べた。

黒田総裁は質疑で、新型コロナの各地での拡大や公衆衛生上の措置により「景気回復は緩やかなものにとどまらざるを得ない」と指摘した。

物価に関連して、企業の値下げの動きが広範になっておらず「デフレに向かっている状況ではない」と指摘する一方、企業の設備投資やサービス消費の動向は注視していくと述べた。

日銀はコロナ対策で国債などの買い入れを積極化した。今年3月末時点で国債の保有比率は発行残高の44%、上場株式投信(ETF)は株式市場の時価総額の6%、不動産投信(REIT)はREIT市場の時価総額の5%となった。黒田総裁は「金融市場は全体として神経質な状況にある」と指摘。「金融緩和からの出口のタイミング、具体的な対応を検討する局面には至っていない」と述べた。

コロナ対策で財政出動が膨らんでいる。黒田総裁は「中長期的な国債の信認確保と、機動的な財政出動は矛盾しない」と述べた。

米連邦準備理事会(FRB)が年末でコロナ対応緊急融資を打ち切ることについては「FRBの金融緩和に向かっての態度には一切変更がない」と指摘した。

<地域金融機関の経営効率化支援策>

日銀は10日、地方銀行や信用金庫を対象に経営効率化を達成した場合にプラス0.1%の特別付利を実施する制度の導入を発表。黒田総裁は「地域金融機関の合併・統合を目的としたものではなく、経営基盤を強化するための努力をサポートしたい」と述べた。

黒田総裁は「金融政策ではなく、あくまでもプルーデンス政策として導入した。現在の長短金利操作付き量的・質的金融緩和のフレームワークに影響を与えるものではない」との見解も示した。

金融機関からは、経費率(OHR)の改善幅など特別付利の適用を受ける場合のハードルが高いとの指摘が出ている。衛藤公洋理事は「適用基準は相応に難易度が高いが、将来にわたって地域経済をしっかり支えていく観点から、この程度の経営基盤の強化を図っていくことが重要」と述べた。同理事によると、全ての地銀や信金に特別付利を付けると年間400億―500億円程度の支出になるとの試算になる。

<オンライン化や押印廃止を推進>

政府が進めている行政手続きの簡素化について、日銀もオンライン化や押印の廃止を進めて範を示すべきではないかとの指摘に対し、黒田総裁は「法令に基づく取り扱い手続きは、所管官庁からの指示や法令改正を受けてオンライン化や押印の廃止を進めていきたい。日本銀行と金融機関との間の手続きも、民間実務や法令によるところもある」と述べた。その上で「(日銀が)オンライン化や押印廃止を積極的に進めることで、金融業界の取り組みをサポートしていきたい。金融面でより国際標準に近づくということは日本の国際金融センターの地位向上にも資する」と語った。

*内容を追加して再送します。

(和田崇彦 杉山健太郎 編集:内田慎一、青山敦子)

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ヒズボラ指導者、イスラエルへの報復攻撃を示唆 司令

ワールド

「オートペン」使用のバイデン氏大統領令、全て無効に

ビジネス

NY外為市場=ドル、週間で7月以来最大下落 利下げ

ワールド

エアバス、A320系6000機のソフト改修指示 航
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場の全貌を米企業が「宇宙から」明らかに
  • 4
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 5
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 6
    「攻めの一着すぎ?」 国歌パフォーマンスの「強めコ…
  • 7
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    エプスタイン事件をどうしても隠蔽したいトランプを…
  • 10
    メーガン妃の「お尻」に手を伸ばすヘンリー王子、注…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 4
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 7
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中