ニュース速報

ビジネス

展望2020:日本は軽い景気後退局面、実感なき回復へ=早川元日銀理事

2019年12月18日(水)19時37分

12月18日、元日銀理事で富士通総研エグゼクティブ・フェローの早川英男氏はロイターのインタビューで、日本経済は軽い景気後退局面にあるとの厳しい見方を示した。都内のビジネス街で2016年3月撮影(2019年 ロイター/Yuya Shino)

志田義寧 木原麗花

[東京 18日 ロイター] - 元日銀理事で富士通総研エグゼクティブ・フェローの早川英男氏は18日、ロイターのインタビューで、日本経済は軽い景気後退局面にあるとの厳しい見方を示した。来年前半には持ち直してくるとみているが、力強い成長は期待できない「実感のない回復」になると予想した。

早川氏は景気後退局面と判断している理由について「景気動向指数をみれば明らかに昨年の秋がピークだ」と指摘。「基調判断は3、4、8、9、10月と1年間のうち5カ月が悪化。10、12月もほぼ確実に悪化するので、どう考えてもこれはリセッションだ」と語った。

ただ、景気動向指数は製造業の影響を受けやすいため、「ちょっと弱く出すぎているのも事実だ」と述べ、別の指標でも確認する必要があると指摘。「景気の全体像をみるには経済産業省の全産業活動指数が一番もっともらしい」としたが、これも1─3月は前期比マイナス0.5%、4─6月期が同プラス0.5%、7─9月期は同プラス0.3%、「10─12月期はまた落ちる」と横ばい圏で推移していることから、この数字からも「軽度のリセッションと言うのが一番いい」と繰り返した。

先行きについては「外需は戻ってはいないが、どんどん落ちていく感じではない。世界全体の動きをみても、景気減速には歯止めがかかりつつある」として、「来年前半のどこかで持ち直しが始まる」との見通しを示した。事業規模26兆円の経済対策も景気を下支えするとみており、この結果、景気後退は昨年秋から来年前半までの1年半くらいになるとの見方を示した。この見方通りなら、アベノミクス景気は戦後最長にはならない。

早川氏は、日本経済の特徴は実感のない景気回復と実感のない景気後退であり、潜在成長率付近の成長を続けていることがその背景にあると説明。「日本の潜在成長率を内閣府と日銀の試算の間の0.8─0.9%だとすると、日本の成長は実力値の0.8─0.9%を中心に0.2─0.3%上下に動いているだけで、良い時も悪い時も実感がないのは当たり前だ」と語った。

その上で「問題なのは、日本の実力が低いことだ」と強調した。

足元では世界中で金融政策の限界が指摘される中、財政政策への期待が高まっているが、日本の場合は「潜在成長率を高めるような財政政策ができるかどうかが重要だ」と指摘した。

一方、日銀の金融政策については「物価目標の2%がはるか彼方にある中で、本格的な正常化ができるかというと、それはない」として、「今できることは(国債買い入れなどを明示せずに減額する)ステルス正常化だ」と述べた。

緩和方向に関しては「悪くなってもほとんど打てる手はない」と述べ、唯一実行可能な政策としてマイナス金利の深掘りを挙げた。ただ「理論的には効果があると思っているが、マイナス金利導入が突然だったのでマーケットがパニックを起こし、理屈通り動くかどうかまったくわからなくなってしまった」と指摘、日銀のコミュニケーションの失敗から効果が見通しづらくなっているとの認識を示した。

(編集:石田仁志)

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

独大統領、トランプ米大統領の外交政策が世界秩序崩壊

ワールド

トランプ氏、中国が台湾で何をするかは習主席「次第」

ワールド

ゼレンスキー氏、ウクライナ南東部への攻撃非難 「破

ワールド

トランプ氏顧問、デンマーク・ グリーンランド特使と
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 5
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 6
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 7
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 8
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 9
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 10
    「ショックすぎる...」眉毛サロンで「衝撃的な大失敗…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 7
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 8
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 9
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 10
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中