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ホンダ、研究開発体制を見直し 品質問題多発で効率化狙う

2019年12月10日(火)18時48分

 12月10日、ホンダの八郷隆弘社長が独立組織の研究開発(R&D)センターを統合して経営陣をスリム化し、意思決定の集中化を図る社内改革を進めていることが分かった。写真は新型フィットを発表する八郷氏。10月23日、東京で撮影(2019年 ロイター/Edgar Su)

白水徳彦 田実直美

[宇都宮市 10日 ロイター] - ホンダ<7267.T>の八郷隆弘社長が独立組織の研究開発(R&D)センターを統合して経営陣をスリム化し、意思決定の集中化を図る社内改革を進めていることが分かった。ホンダの社内関係者3人が明らかにした。

関係筋によると、経営改革は近々発表される見込み。電動化や自動運転などの開発を迫られる中、製造や購買との連携を深めて更なるスピードを上げ、開発資源を高めるのが狙い。

関係者2人によると、八郷社長は今年前半に宇都宮で開いたサプライヤー向けの会合で、ホンダは高額な負担を伴うリコールや品質面の問題が頻発し危機に直面していると警鐘を鳴らした。ホンダの社内関係者によると、八郷氏はこの会合以来、ひそかに改革に取り組んでいるという。

ホンダの元幹部で、現在はサプライヤー企業の社長を務める人物は「数十年前にはローカル化という言葉がはやりで、ホンダはR&Dセンターの本体からの 独立性が技術革新の原動力になった」とした上で、「そういう時代は終わった」と述べた。

関係筋によると、八郷氏は研究開発を手掛けるホンダR&Dを本社に統合し、購買、製造、品質管理、販売・マーケティングなど主要部門と技術者の作業の連携を高めることを検討している。

ホンダの広報はロイターの取材に対して「四輪事業の体質強化と、次世代に向けた事業の変革を経営の最重要課題として進めている」と回答した。

ホンダは1980年代から90年代のかなりの期間において、米自動車大手3社の経営幹部にとって脅威の的だった。ホンダ車は低コストで燃費に優れ、仕上がりが良く、米メーカーは太刀打ちできなかったからだ。

しかしホンダは2014年以降、エアバッグやスライドドア、エンジンなどで問題が次々と発生。品質や効率の面で業界の基準と位置付けられてきたステータスが大きく傷つき、品質を巡る危機で収益性が悪化している。

社内関係者5人によると、ホンダは品質面の問題が響き、世界の自動車部門の営業利益率が2%ないし3%に低下。経営規模の大きいライバルが経営の大幅な見直しや提携で体力を強化する中、ホンダは経営戦略の余地が狭まっているという。

対照的に、R&Dセンターを本体に統合済みのホンダの二輪部門は営業利益率が13.9%だ。

米国の自動車業界コンサルタント、JDパワーの信頼度調査によると、ホンダブランドの順位は02年に過去最高の4位、15年には5位だったが、今年18位に沈んだ。

ホンダの関係者はロイターの取材に「足元でのこうした取り組みが最終的に当社の運命を左右する。今後10年後、15年後に独立したメーカーとして存続しているかどうかだ」と話した。

<多様化で技術部門の負担増>

ホンダの開発事業の重要拠点である宇都宮近郊の技術センターの幹部によると、問題の根本はホンダの車種構成やそれぞれの車種に応じた技術的な対応が「あまりにも複雑」な点にあるという。この幹部は「品質が暴れている。ホンダは地域ごとの仕様の車種が多すぎる上に、それぞれの車種に異なるタイプやオプション、派生商品がある。こうしたことがすべて重なって収益性が悪化している」と述べた。

例えば米国で販売されているホンダのセダン「アコード」にはエンジンとトランスミッションの基本装備で13のタイプがあり、このうち3つがハイブリッドだ。一方、アコードと競合する米ゼネラル・モーターズ(GM)の「マリブ」のタイプは5つで、ハイブリッドはない。

八郷氏と調達部門の幹部は今年前半にサプライヤーに、車種構成の絞り込みや、モデルやオプションの削減への協力を求めた。会合に参加した関係者2人によると、八郷氏らはエンジンやトランスミッションのほか、バックミラーや取っ手、スイッチに至るまで部品の共通化をサプライヤーに要求したという。

ホンダがこうした問題を抱えたのは15年以来進めて来た積極的な拡大路線が主因。同社は「シビック」、「アコード」、「CR─V」などのグローバルモデルに加えて地域向けの車種を開発。こうした車種は現在、世界販売の40%を占める。

ホンダの関係者2人によると、地域向けの車種の爆発的な増加は思わぬ結果をもたらした。技術的な作業が複雑になって負担が増え、品質にかかわる高コストのリコールの発生を引き起こしたのだ。

八郷氏は5月の記者会見で、2025年までグローバルモデルの派生を3分の2削減し、地域向けの車種やオプションの行き過ぎを見直す考えを示した。

関係者2人によると、ホンダには地域向け車種の増大に伴う技術者の作業負担の増加に加えて、新技術の出現で予算の大きい技術部門の独立性を制限せざるを得ないという事情もある。

ホンダの元幹部のサプライヤーは「いろいろな意味でホンダ傘下の技術企業は大学の研究室のようにふるまっている。昔はそれで良かったのだが」と話した。

ホンダの関係者2人によると、八郷氏はホンダR&Dの経営陣を大幅に縮小し、その大部分を本社に異動することを計画しているという。

ロイター
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