ニュース速報

ビジネス

収益力向上へ対話深化、懸念あれば効率化も議論=日銀の18年度考査

2018年03月13日(火)19時07分

 3月13日、日銀は取引先金融機関を対象にした2018年度の考査の実施方針を発表した。低金利環境の長期化や人口・企業数の減少などを背景に地域金融機関を中心に基礎的な収益力の低迷が続く中、引き続き収益力の点検と評価に注力する。都内の日銀本店で2016年3月撮影(2018年 ロイター/Yuya Shino/File Photo)

[東京 13日 ロイター] - 日銀は13日、取引先金融機関を対象にした2018年度の考査の実施方針を発表した。低金利環境の長期化や人口・企業数の減少などを背景に地域金融機関を中心に基礎的な収益力の低迷が続く中、引き続き収益力の点検と評価に注力する。

将来的な収益力が懸念される先には、経営効率化策についても経営陣と対話を深める。

17年度考査では、充実した自己資本を背景とした金融機関の損失吸収力の高さが確認されたものの、低金利環境の長期化や金融機関間の競争激化、人口・企業数の減少などを背景とした収益力の低下傾向に変化はない。

こうした課題を踏まえ、18年度考査では引き続き、金融機関の収益力の点検と評価に力を入れる。

非金利収入を含め、中長期的に「持続性の高い利益」を確保するための取り組みについて経営陣と議論を行うほか、低金利環境が続く中で積極化しているリスクが高めの先に対する貸出や期間が長めの貸出などの信用リスク、自己資本や収益性とのバランスを考慮した市場リスク管理についても考査で確認する。

さらに、人口・企業数の見通しなど営業基盤の変化を踏まえた定期的な収益シミュレーションを行い、経営戦略や業務計画の妥当性を検証し、必要な見直しを行っているかを点検する。

将来の収益に懸念がある金融機関とは収益管理の適切性や収益向上策のほか、経営効率化策など「幅広い観点から、収益力の向上を促す対話を深める」方針だ。

また、地域金融機関の収益力や市場リスクに調査範囲を限定した「ターゲット考査」を18年度も継続する。市場リスク管理においては、運用計画に見合った体制整備ができているかや、内外金融市場の急変時における「経営陣への報告と意思決定プロセス」も点検する。

ターゲット考査は17年度から本格的に実施され、同年度は15前後の地域金融機関で行われた。18年度も同様のペースを維持する考えだ。

IT(情報技術)などを活用した新たな金融サービスの提供や業務改革によるオペレーショナルリスクへの対応状況なども点検する。

(伊藤純夫)

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン大統領、トランプ氏にクリスマスメッセージ=

ワールド

ローマ教皇レオ14世、初のクリスマス説教 ガザの惨

ワールド

中国、米が中印関係改善を妨害と非難

ワールド

中国、TikTok売却でバランスの取れた解決策望む
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 5
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 6
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 7
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 8
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 9
    【銘柄】「Switch 2」好調の任天堂にまさかの暗雲...…
  • 10
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 6
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 7
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 8
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 9
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 10
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中