ニュース速報

ビジネス

日産とDeNAが実証実験、「技術革新の先」の移動サービス開拓

2018年02月23日(金)19時41分

 2月23日、日産自動車とディー・エヌ・エー(DeNA)が3月にドライバー不要の自動運転車による移動サービス「Easy Ride(イージーライド)」の実証実験を横浜市内で行う。21日撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)

[横浜市 23日 ロイター] - 日産自動車<7201.T>とディー・エヌ・エー(DeNA)<2432.T>が3月にドライバー不要の自動運転車による移動サービス「Easy Ride(イージーライド)」の実証実験を横浜市内で行う。2020年代早期に日本で同サービスを展開することを目指しており、実験で最適な形態の検証や課題などを洗い出す。

実験は3月5日から18日まで行われ、ネットで募った一般のモニター約300組が参加する。自動運転車は旧型の電気自動車(EV)「リーフ」をベースに開発。遠隔管制システムで車の位置や速度、バッテリー残量などを管理して安全を確保するが、今回の実験では万が一に備えてドライバーが同乗する。

イージーライドは単に配車するだけでなく、目的と移動を結びつけたサービス。ユーザーはスマートフォンの専用アプリを起動すると、「何をしたいか」をまず画面で尋ねられる。例えば「おいしい朝食を食べたい」と声で目的を入力すると、候補となる飲食店が複数表示され、目的地、乗降地、乗車日時を選択して車の予約を確定する。指定した配車時刻に車が到着し、ユーザーがアプリでドアロックを解除。後部座席に乗り込むと、車が自動運転で目的地まで連れて行ってくれる。

23日会見した日産の西川廣人社長は「魅力ある車の提供」という本業に加え、車の電動化・知能化という「技術革新の先にある新しいモビリティーサービスの提供」という事業進化につなげると指摘。DeNAの守安功社長は高齢化に伴う移動困難者の増加や運輸業界が抱える人手不足などさまざまな社会課題を「インターネットやAI(人工知能)の力を活用して解決したい」と語った。

場所は横浜市のみなとみらい地区周辺で全長約4.5キロメートルのルートと4つの乗降地に限るが、モニターはアプリで車を呼び出し、目的地まで移動するサービスを体験してもらう。

走行中、車内のタッチパネルには目的地周辺のお店で実際に使えるクーポンなども表示される。紹介する提携店舗には「運賃の一部を負担していただくことも検討する」(DeNAの中島宏執行役員)という。

日産、仏ルノー、三菱自動車<7211.T>3社のアライアンス専務執行役員で、コネクテッドカーと移動サービスの責任者を務めるオギ・レドジク氏は、イージーライドで得られる技術は「3社全ての能力向上に役立つことを期待する」と述べた。また、海外でのサービス展開では「それぞれの市場での現地パートナーがいるだろう」と話した。

(白木真紀、田実直美)

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ノキア、第3四半期営業利益が予想上回る AIとクラ

ビジネス

ニデック、26年3月期の業績予想を未定に変更 自社

ワールド

中国副首相、24─27日に米と通商協議 マレーシア

ビジネス

STマイクロ、第4四半期は増収見込む 設備投資計画
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺している動物は?
  • 3
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシアに続くのは意外な「あの国」!?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 6
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 7
    汚物をまき散らすトランプに『トップガン』のミュー…
  • 8
    国立大卒業生の外資への就職、その背景にある日本の…
  • 9
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 7
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 8
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 9
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 10
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中