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英中銀ストレステスト、17年は全主要行が合格 審査開始以来初めて
11月28日、イングランド銀行(英中央銀行、BOE)は、国内主要7行を対象に行った年次ストレステスト(健全性審査)の結果を公表し、2014年の審査開始以来初めて、資本積み増しの必要はないとの結論を出した。写真はロンドンで1日撮影(2017年 ロイター/Toby Melville)
[ロンドン 28日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行、BOE)は28日、国内主要7行を対象に行った年次ストレステスト(健全性審査)の結果を公表し、2014年の審査開始以来初めて、資本積み増しの必要はないとの結論を出した。
同国が「無秩序に」欧州連合(EU)を離脱した場合でも、英銀は融資を縮小したり公的支援を受けたりせずに対応することができるという。
審査は主に、2017年初めの資本に基いて算出したもの。これによると、バークレイズ
HSBC
カーニー総裁は、「EU離脱が無秩序なものになったとしても、銀行システムは実体経済を支え続けることができると英中銀は判断している」と述べた。
ただ「EU離脱が大幅に無秩序なものとなった場合、家計と企業は経済的な影響を受ける。新たな市場が開拓される前に市場が失われ、こうしたことは痛みを伴う」と指摘。無秩序なEU離脱が世界的な景気後退(リセッション)と同時に起き、銀行に罰金が課されるような事態となった場合、銀行システムが容易に乗り越えられるかは分からないと述べた。
英政府は公的債務返済のため、RBSの保有株30億ポンド相当を次の会計年度中に売却する計画であり、今回の結果はハモンド財務相を安堵(あんど)させたとみられる。
英国では、昨年6月のEU離脱決定以来、ポンドが下落したことが主因となりインフレが加速、家計の可処分所得を圧迫し、今年の国内経済はモメンタムを失った。
政府は前週、今後数年間の見通しを大幅に下方修正。予算責任局(OBR)は、2017年の国内総生産(GDP)伸び率見通しを1.5%に引き下げた。歴史的傾向と比べると、ほぼ1%ポイント下回る水準だ。
英国は19年3月にEUを離脱する予定。BOEの金融行政委員会(FPC)は、移行期間に関する「時宜にかなった合意」を結ぶことで、金融安定リスクを軽減できるとの見方を繰り返している。
ただBOEは、今回の結果からみて、英国が合意できないままEUから離脱することになっても銀行は対処できると主張した。
英国とEUは、26兆ポンド相当のクロスボーダーでのデリバティブ契約や3600万の保険契約に混乱が発生しないよう、新しい法律を成立させる必要がある。
BOEは、世界が深刻なリセッションに陥り、銀行が会計上の不正行為でさらに多額の罰金を支払うことになった場合、銀行システムが無秩序なEU離脱に容易に対処できるかどうかは不明だとしている。
*内容を追加して再送します。