ニュース速報

インド、景気浮揚へ205億ドル規模の法人税減税 財政悪化懸念も

2019年09月20日(金)19時56分

[パナジ(インド) 20日 ロイター] - インド政府は20日、景気浮揚に向けた民間投資促進策として、205億ドル規模の法人税減税を発表した。

シタラマン財務相は記者会見で、法人実効税率を30%から約25%に引き下げると発表。これにより税率は他のアジア諸国並みになると説明した。このほか国内企業向けの最低代替税も廃止する。

2019/20年度から、国内企業は、一切の控除を利用しないことを条件に所得税税率を22%とする選択肢を有する。所得税が22%だった場合、その他の税を合わせて実効税率は25%程度になるという。

また、10月1日以降に法人格を取得した企業は、2023年3月までに生産を開始するという条件で、実効税率を17%に下げる。

インドに子会社を置いていたり、インド企業と合弁している外国企業に対しても、法人税率を下げる。

<インド中銀総裁「思い切った措置」>

インド準備銀行(中央銀行)のダス総裁は、今回の措置は経済にとって「極めて有益」で「歓迎すべき、非常に思い切った措置」と評価し、これで税率がアジア諸国並みとなると指摘した。

発表を受けて、インド株式市場は5%以上上昇している。

コタク・マヒンドラ銀行のウダイ・コタク最高経営責任者(CEO)は、25%への法人減税について「ビッグ・バン改革。政府が成長を回復させる決意で、合理的な税制度を順守する企業を支援するというシグナルだ。大胆な前進だ」とツイートした。

<財政悪化懸念>

今回の減税により、税収は1兆4500億ルピー(205億ドル)減少する見込み。すでに低迷している税収がさらに減少することになり、19/20年の財政赤字目標である国内総生産(GDP)比3.3%の達成が不透明になってきた。

株式市場は、減税を好感して上昇しているが、債券市場は、赤字目標未達懸念から利回りがほぼ3カ月ぶりの高水準をつけた。

財務相の発表を受けて、10年債利回りは6.57%から6.84%に上昇している。

ミラエ・アセット・グローバル・インベストメンツの債券部門責任者、マヘンドラ・ジャドゥー氏は「1兆4500億ルピーもの税収減という現実。その一方で、景気回復により、減少分を取り返せるという期待もある」と指摘した。

5月にモディ首相の続投が決定し、経済と雇用の回復に向けた大胆な改革が期待されている。

一部アナリストは、今回の措置の個人消費押し上げ効果に懐疑的だ。

L&Tフィナンシャル・サービシズのチーフエコノミスト、ルパ・レゲ・ニツレ氏は「個人消費が失速している時に、どこまで税率を下げれば企業が設備投資を増やすか、わからない」と述べた。

現在、自動車や建設といった主要産業は、需要低迷で投資を控えている。

ワシントンの米企業公共政策研究所のレジデントフェロー、サダナンド・デューム氏は「財界に対し、モディ政権は企業の利益に敵対的でないと保証する重要な動きだ。しかし、投資環境を回復するには不十分かもしれない」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ユーロ圏インフレ今年1.8%、来年目標回帰=ECB

ビジネス

ドイツの12月輸出が予想以上に増加、鉱工業生産は減

ビジネス

三菱電機、防衛省から「次期防衛衛星通信の整備」を受

ワールド

三井物産が権益取得へ最終調整、カタール・エナジーの
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近したイラン製ドローンを撃墜
  • 2
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新世論調査が示すトランプ政権への評価とは
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    「右足全体が食われた」...突如ビーチに現れたサメが…
  • 5
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 6
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 7
    「反トランプの顔ぶれ」にMAGAが怒り心頭...グリーン…
  • 8
    ユキヒョウと自撮りの女性、顔をかまれ激しく襲われ…
  • 9
    地球の近くで「第2の地球」が発見されたかも! その…
  • 10
    「エプスタインは悪そのもの」「悪夢を見たほど」──…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 7
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中