ニュース速報

米短期金融市場で金利急上昇、FRBは臨時で資金を供給

2019年09月18日(水)15時06分

[ニューヨーク 17日 ロイター] - 米短期金融市場で17日、銀行や企業が資金調達する際に支払う翌日物レポ金利が前日に続き上昇し、一時10%を付けた。四半期の法人税納付や国債入札の決済が立て込むなか、今週に入って短期市場に混乱がみられており、ニューヨーク(NY)連銀は臨時の資金供給を実施した。

フェデラル・ファンド(FF)金利の実効レートも16日に上昇。同レートは2.25%と誘導目標レンジである2.0―2.25%の上限に達した。アナリストはレポ金利上昇が原因と指摘した。[nL3N2683HQ]

NY連銀は、市場の動揺を抑えるため、銀行の持つ国債などを担保とするレポ取引を通じて531億5000万ドルを市場に供給した。連銀は18日もレポ取引を通じた金融調節を実施し、最大750億ドルを供給すると表明した。

米連邦準備理事会(FRB)は2008年の世界金融危機のさなかにレポ取引で大規模な資金供給を行ったが、近年は市中銀行が日々の業務に必要な手元流動性を十分に確保していることから、ほとんど実施されていなかった。

短期金利の急騰は、保有資産を減らすことでバランスシートを正常化するFRBのこれまでの政策に起因する短期金融市場のゆがみを映し出したとアナリストは指摘する。保有資産の縮小によって市中銀行の準備預金は2017年以来、9000億ドル近く減少している。FRBは18日まで2日間、連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。

TD証券(ニューヨーク)のシニア金利ストラテジスト、ゲンナディ・ゴールドバーグ氏は、FRBがバランスシートを縮小し、銀行システムにおける準備預金が大幅に減少したことが資金不足の「根本原因」だと指摘した。「これが資金需給を逼迫させた」とした。

NY連銀の資金供給の発表を受けて、レポ金利は一時、ゼロまで低下したが、その後3.5%前後に再び上昇した。

アナリストはFRBが短期金融市場の安定を図るため、一段の措置を講じると見込んでいる。銀行が必要に応じて米国債を超過準備に転換することを可能にする「スタンディング・レポ制度」や超過準備への付利(IOER)の引き下げ、米国債買い入れなどが実施される可能性が指摘されている。

キャンター・フィッツジェラルドの米国債ストラテジスト、ジャスティン・レデラー氏は「短期市場で起きている現象に対してFRBは何らかの形で対処する必要があるだろう」と述べた。

※内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ブラジル大統領、米50%関税に報復示唆 緊張緩和へ

ワールド

カナダ、ASEANとのFTA締結目指す 貿易多様化

ワールド

ゼレンスキー大統領、物資供給や対ロ制裁強化巡り米議

ワールド

トランプ氏、大半の貿易相手国に15%か20%の関税
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 3
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 6
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 7
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 8
    犯罪者に狙われる家の「共通点」とは? 広域強盗事…
  • 9
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 10
    ハメネイの側近がトランプ「暗殺」の脅迫?「別荘で…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中