<中国の年金制度には「体制内」と「体制外」で絶望的な格差がある。元高級幹部が日本円で年2000万円以上の高額を受給し、高度医療や特効薬を享受するのに、庶民や農民は雀の涙ほどの給付金しかもらえず、ビッグデータを駆使した政府の徴収に追われる>
中国政府は現在、高齢化に伴う養老保険(年金)財源枯渇を防ぐため、最新技術を駆使した強制徴収へと舵を切っている。人力資源社会保障省は「データで人を探す(数据找人)」というスローガンを掲げ、未加入者や滞納者をビッグデータで洗い出す方針を打ち出した。
これに対し、ネット上では悲鳴と批判が殺到している。景気低迷や若者の高失業率で、低収入で暮らす人が激増しているからだが、中国の年金制度における「天国と地獄」の給付格差が特に激しい怒りを引き起こしている。
例えば、経済的に豊かな広東省では、定年退職した公立学校の元幹部教師が年間約20万元(約470万円)の年金を受け取っている。その一方で、山東省のある一般農民が手にする年金は年間約2400元(5万6400円)にすぎない。
絶望的な格差が生じるのは、国が公的資金で全力支援する体制内限定の年金と、地方政府が貧弱な予算から一律で補助する農民向けの年金との間に、越えられない制度的・財政的な断絶があるからだ。
実は2014年10月以前の中国では、体制内に属する公務員や教員の個人負担は「ゼロ」だった。彼らは在職中、年金保険料を一切支払う必要がなく、引退後はその時点の「役職や行政ランク」に応じた年金が、国家財政から支給された。
これに対して一般企業の社員の不満が爆発。財政負担も限界に達しつつあったことから、政府は同年10月に「並軌(制度の一本化)」を断行。公務員も民間と同様に毎月給与の8%の保険料を支払うことになったが、過去の不払い期間は「納付したものと見なす」という特例が設けられた。