車の荷台に腰を掛け、段ボール箱を両手でつかむ。荷物を抱えたまま地面に降り立つと、建物の入り口へと歩いていく。

一見すると宅配業者の作業風景だが、荷物を運んでいるのは人間ではない。二本の脚で歩き、両腕を使って荷物を扱う人型ロボットだ。

米カリフォルニア州のAIスタートアップ、Reward AIは10月27日、人型ロボットによる配送作業の実演映像を公開した。

映像に登場するのは、同社が開発したロボット向けAIモデル「OM-1」を搭載した人型ロボットだ。

ロボットは、米テスラの電動ピックアップトラック「サイバートラック」の荷台から段ボール箱を取り出し、地面へ降りて建物の入り口まで運んでいく。

注目すべきは、荷物をつかむ動作と、体のバランスを保ちながら移動する動作を組み合わせていることだ。

荷物の大きさや置かれた向きが異なれば、腕の伸ばし方やつかみ方も変えなければならない。さらに、箱を落とさずに荷台から降りるには、全身の動きを調整する必要がある。

Reward AIによると、OM-1は荷物の位置や向きに応じて動作を調整できるという。同社はAmazonやWalmart、DHLなどの箱を使い、異なる配置で荷物を扱う試験も行ったとしている。

公開された映像には「完全自律」「等速再生」と表示されており、同社は遠隔操作によらない動作だと説明している。

同じ映像では、階段上に置かれた物を拾い上げるなど、屋内での作業も披露された。

人型ロボットの開発競争では、走る、跳ぶ、宙返りするといった身体能力が注目されがちだ。しかし、実際の仕事を任せるには、荷物を確実につかみ、運び、段差を越えるといった地道な作業をこなす能力が欠かせない。

日本でも、宅配需要の拡大やドライバー不足を背景に、物流の省人化が課題となっている。

これまでも配送ロボットの開発は進められてきたが、車輪で走行するタイプの場合、階段や大きな段差などが障害になる。人間と同じように脚と腕を使うロボットなら、既存の建物や道路環境に対応できる可能性がある。

もっとも、今回公開されたのはあくまで企業による実演映像だ。実際の宅配サービスに導入されたわけではなく、さまざまな天候や地形に対応できるか、どの程度の確率で作業を成功させられるかなども明らかになっていない。

それでも、車から荷物を取り出し、玄関先まで届けるという一連の動作は、人型ロボットが単なる研究開発の対象から、現実の仕事を担う存在へと近づきつつあることを印象づける。

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