アメリカ・ホワイトハウスの大統領執務室で、ドナルド・トランプ大統領が机に座り、その周囲を黒い聖職者の服を着た男性たちが取り囲んでいる。
司教の一人がトランプの肩に手を置き、ほかの司教たちも一斉に手を差し伸べながら祈りを捧げる。トランプは目を閉じ、うつむいたまま、その祈りに耳を傾けている。
10月22日に撮影されたこの映像がSNSで公開されると、宗教指導者たちによる祈りの場面が政治的な宣伝に利用されたのではないかとして、議論を呼んだ。
この日、アメリカ各地から集まったカトリック教会の司教12人がトランプと面会。デンバー大司教のジェームズ・ゴルカが中心となり、大統領と国のために祈りを捧げた。
しかし、11月3日の中間選挙までわずか12日というタイミングで映像が公開されたことから、司教たちがトランプ支持を表明しているかのような印象を与えるとして、批判が広がった。
参加した司教たちからも反発の声が上がった。
ミルウォーキー大司教のジェフリー・グロブは25日に声明を発表。会合は非公開の政策協議と説明されており、写真や映像の公開には同意していなかったと明らかにした。
グロブは、祈りという神聖な行為が政治的に利用されたことへの悲しみを表明し、自身の参加によって傷ついた人々に謝罪した。
また、デモイン司教のウィリアム・ジョエンセンも、会合が党派的な政治目的に利用されたと批判している。
司教たちはもともと、移民政策や宗教の自由など、カトリック教会にとって重要な問題について政権側と協議するためにホワイトハウスを訪れていた。
大統領のために祈るという宗教的な行為が、選挙を目前に控えた政治的な論争へと発展した今回の騒動。公開された映像は、宗教と政治の距離をめぐるアメリカ社会の対立を浮き彫りにしている。