中国の習近平(シー・チンピン)国家主席は9月下旬、アメリカを訪問した際に、米中間の「友情の使者」であるパンダのつがいが近く、ジョージア州のアトランタ動物園に送られると発言した。オスのピンピンとメスのフーシュアンが同動物園に到着したのは、その数日後だ。

中国がソフトパワーのツールとしてパンダを利用するのは、もちろん今回が初めてではない。いわゆる「パンダ外交」だ。だがその真意は、操作と搾取を体現する構図そのものにあるのかもしれない。

第1に、パンダは中国を象徴するマスコットになっているが、主な自然生息域の1つである臥龍(ウォロン)はチベット高原の外れに位置する。伝統的にはチベットのカム地方に属していたが、現在は四川省アバ・チベット族チャン族自治州の一部だ。

中国は1950~51年のチベット侵攻・併合以来、チベットの文化や固有性の抹消に組織的に取り組んでいる。なかでもチベット高原の特徴的地形や野生生物、天然資源を、中国のナショナルアイデンティティー(国民意識)に組み込んできた。

パンダ外交が疑わしい第2の理由は、利益の大きい「パンダのつがい貸し出し」事業が根本になっていることだ。

愛らしいパンダを外国の動物園に預けてソフトパワーの恩恵を手にする一方で、中国は高額のレンタル料を要求する。展示・繁殖を行う権利の代金は、年間最大110万ドル。

さらに、貸与したペアだけでなく、生まれた子供の所有権も中国が保持するにもかかわらず、動物園側はリース期間中に誕生した個体1頭につき、およそ60万ドルを支払わなければならない。94~2023年までに、中国がパンダ貸し出し事業で稼ぎ出した金額は計約3億ドルに達する。

中国側も困惑する「パンダ離れ」最大の原因とは?
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