※あのニュースはどんな業界に影響するのか、あの企業の株価が動いたのはなぜか……。連載「ニュースで読み解く!注目株」では、株式市場を知り尽くした執筆陣が、いま注目すべき銘柄や相場の展開を解説します。
いま株式市場では、これまで相場を牽引してきたAI・半導体関連株から、政策的な裏付けが強固な防衛関連株へ投資マネーがシフトする動きが見られます。
高市政権のもとで防衛産業は成長戦略の重点分野に位置づけられました。防衛費のGDP比2%前倒し達成やGDP比3.5%への引き上げ議論、メガバンクによる防衛企業向け融資枠の整備……などなど、国策としての追い風が吹いています。
一過性のブームにとどまらない息の長い投資テーマとして、防衛株の構造と主要5銘柄を解説します。
収益構造が大きく改善した防衛産業
防衛銘柄が再評価されている最大の理由は、単なる予算増額にとどまらず、制度面や収益構造が根本から改革されていることにあります。政府は2027年度までの5年間で、総額43兆円規模の防衛力整備計画を進めています。年間の防衛予算は、従来の約5.4兆円から約11兆円規模(関連経費を含む)へと倍増する見通しです。
さらに重要なのが、防衛省が防衛装備品契約における想定営業利益率の目安を、従来の約7~8%から最大15%へと大幅に引き上げたことです。これにより、長年コスト負担や低利益率に苦しんできた防衛産業は、持続的に利益を出せる構造へと改善しつつあります。
加えて、国主導の「日本版FMS(対外有償軍事援助)」の導入構想があります。防衛装備移転三原則の改定による輸出ルールの緩和や、防衛スタートアップへのVC投資促進も進み、官民を挙げて産業基盤の強化に取り組んでいる状況なのです。
大型装備品を担う重工大手3社
防衛予算増額の直接的な受け皿となるのが、護衛艦や戦闘機、潜水艦などの大型装備品を手がける重工大手です。3社は、それぞれ異なる強みを持っています。
三菱重工業<7011>は、ミサイル、戦闘機、艦艇など陸海空すべての防衛装備品を手がける最大手です。防衛装備庁が実施する中央調達の2025年度の契約実績は9724億円で圧倒的な1位を誇り、防衛銘柄の本命といえる存在です。
投資の視点から見た強みは、防衛予算拡大の恩恵を最も直接的に受ける点にあります。さらに、電力需要の急増を背景に、データセンター向けガスタービン発電プラントなどの民生事業も好調です。この2つの事業が企業価値を両面から押し上げています。