※この記事は後編です。前編「量子の時代が今年、始まる…夢だと思われていた量子コンピューティングがついに実用化されるかも」はリンクからご覧ください。
今年に入り、量子コンピューターの実用化を進める組織から、量子優位性の主張が相次いでいる。
オーストラリアのQ-CTRLは、量子技術を使ってGPSがなくても飛行機や船舶を航行できるシステムの開発に取り組んでいる。また、全ての計算をIBMのクラウド量子コンピューターで実行することにこだわった結果、最先端の古典計算機(つまりスーパーコンピューター)では160時間かかっていた計算が2分26秒で完了したという。
7月末には、1日で3件もの「量子超越性」達成の発表が飛び込んできた。シカゴ大学のビル・フェファーマン准教授率いるチームは、新しいエラー訂正方法により、従来の10分の1のエラー率で、古典的な計算方法では処理できない課題を解いた。しかもそれに要したのはわずか15分程度だった。
イスラエル企業のケドマは、量子コンピューターを使った先端材料に関する大規模計算の結果を、日本の「富岳」など世界最高クラスのスーパーコンピューターの計算内容と比較。古典コンピューターでは結果にばらつきがあったのに対し、量子コンピューターでは一貫した結果を得られたことを確認した。
そしてイタリアのスタートアップのアルゴリズミックは、量子コンピューターを使って材料科学の問題を解くことに成功した。それをIBMの量子優位性トラッカーに公開してから8カ月が経過しても、古典的な計算手法で同等の信頼できる結果は確認されていないという。