なぜカナダ政府は中国製電気自動車(EV)への関税を大幅に引き下げたのか。

背景にあるのは、カナダを「51番目の州」にしたがる米トランプ政権への反発だけではない。本誌が入手した資料によれば、今年1月半ばのマーク・カーニー首相訪中に先立ち、中国共産党と深いつながりのある実業家がカナダ政府に、対中関税政策の見直しを提言していた。

カナダはジャスティン・トルドー首相時代の2024年に、中国製EVに100%の高率関税を課していた。しかし1月のカーニー首相訪中時に、4万9000台を上限として6.1%まで引き下げるという合意が発表された。その代わり中国側は、広範な貿易協定の一環としてカナダ産農産品(キャノーラ油など)への関税を引き下げるという。

アメリカとは一線を画した格好だ。アメリカ政府は一貫して中国製EVの締め出しを図り、100%の高率関税を維持している。また、中国の自動車技術が北米を席巻することに対する安全保障上の懸念も高まっている。

本誌に資料を提供したカナダ人(対米関係が微妙な時期ゆえに匿名を希望)の情報源によれば、1月のカーニー訪中に先立ち、「中国製EVに課しているカナダ政府の100%上乗せ関税の構造的再考」を求める政策提言が、首相府と一部の連邦議員に届けられた。この提言の背後にいる人物とその団体は、カナダで公式にロビイストとして登録されていない。
 

本誌入手の資料で浮上した「統一戦線部に連なる人物」
【関連記事】